第01回 漢塾イカ釣り大会
- カテゴリ
- FISHING
- 開催日
- 2006年04月29日(土)
イカは美味しい。とっても美味しい。刺身にしても、焼いても、フライにしても、どんな調理をしても最高である。魚介類の中では、日本で一番食されている部類に入るというのも納得できる。しかし、その味とは反対に見た目はグロテスクである。とても格好良いとは言えない。一番最初に食べた勇気ある人は誰だろう?おそらく何万年も何十万年も前のことになると思うのだが、いつもイカを見るたびに、そのようことに思いを馳せてしまう。
まあ、そんなことに思いを馳せてもそれが誰だか分かるわけがないし、イカ釣りとは関係がないので、思いを馳せるだけ時間の無駄であるのだが。で、肝心のイカ釣りだが、以前にも漢塾通信で書いたとおり、私が始めたのは今から10年近く前のイカ釣りブームが始まったイカ釣り黎明期の頃である。その頃は、イカを釣る人もちらほら見かける程度だったのが、今では場所取りにも苦労するほどイカを釣る人が増えてしまった。そのことに関しては、イカ釣りファンとして大変嬉しく思うものの、おかげでイカの数が少なくなったり、イカの警戒心が強くなったりして、以前に比べてイカを釣り上げるのが難しくなった。
また、警戒心の強くなったイカを釣り上げるために、様々な技術が開発されたようで、自分なりの我流の技術で続けてきた私は、技術的においてけぼりをくった感があるのは否めない。おかげで、イカを釣り上げる数は年々減り続け、昨年は何と0杯という、情けなくて外を歩けないような惨めな結果に終わってしまった。
このままでは、かつては「キング」と、尊敬と畏怖の念をもって呼ばれた男の名が廃る!そう一念発起して、再び過去の栄光を取り戻すためにイカ釣り大会を開催することにした。この大会は、イカ釣りをこよなく愛する者達のためのものであるのは勿論だが、この大会で優勝して「キング」の座に返り咲くという目的を持った私のためのものでもあるのだ。「俺は必ず優勝してキング返り咲く!」と、決死の覚悟で、この第一回漢塾イカ釣り大会に臨んだ。
今回のイカ釣り大会の参加者は、末永さん、和光、西川、大田と私を含めた5人。末永さんと、私以外は今回がイカ釣り初体験のズブの素人である。他の者達には悪いが、優勝候補は、末永さんか私の2人に絞られたと、この時は本気で思い込んでいた。
私と西川が夜食の買い物を済ませて、20分ほど遅れて現地に到着すると、他の3人は既に釣りを始めていた。どうせまだ、誰も釣っていないだろうと思ったが、一応「釣れたか?」と声をかけた。ところが、私の予想に反して、イカ釣り初体験の大田が、3投目にして甲イカを一杯釣り上げたとのことであった。甲イカは不味いから、イカ釣りファンからは敬遠されがちだが、それでもイカには違いないので、この時点で大田が優勝候補に名乗り出ることになった。
人が釣ったのを見ると、俄然やる気が出てくる。「ようし!俺も桔梗を狙うぞ!」と意気込んで竿を投げた。桔梗とは、萩地方で胴長が30㎝以上、重さが1㎏以上の4月から6月の、この時期にしか釣れない大型のアオリイカである。なかなか釣れない希少価値の高いイカであるからして、これを狙うとボウズに終わる可能性が高い。
しかし、男が狙うのは大物に限る。大物しか興味のない私は、他のイカなど眼中になかった。大物狙いの底を這わせるようなエギのアクションで、大物がかかるのを待った。だが、30分が過ぎ、1時間が過ぎても、私の竿には何のアクションもない。釣れるのは、藻ばかり。また、時間が過ぎれば、過ぎるほど、何もアクションがなければ集中力も途切れてくる。
既に一杯だけ釣り上げて、余裕をかます大田を横目に見ながら竿を振る。キングの座に返り咲こうと企む私には、どんどん焦りが出てくるのが分かった。「このままではいかん!」そう思えば、思うほど集中力は途切れ、リールを巻く手に気持ちが乗らない。イカ釣りを始めたばかりの頃は、何が何でも絶対に釣ってやろうという気持ちがあったのに、この時の気持ちは、あの時とはほど遠かった。そして、何故、最近は釣果が振るわなかったのかも、この時分かった。イカ釣りに対する情熱が違うのだ。技術云々よりも、そっちの方が大きいのだ。
しかし、失った情熱を取り戻すのは、すぐできることではないし、竿に何もアクションもなければ、途切れた集中力を元に戻すのも難しい。気持ちの途切れた私の興味が、他の釣り人や、塾生達の方に向いていくのは当然のことだった。
周りの釣り人を見渡すと、まだ、イカ釣りの時期には少し早く、全体的に釣果は振るわないようだったが、上手な人は2杯、3杯と釣り上げていた。中には、イカの中でも最高級といわれる剣先イカを釣り上げている人もおり、少し羨ましく感じた。
塾生達も、一杯だけ釣り上げて満足気な大田を筆頭に、マイペースで食ってばかりの西川、最高級のエギを失くして悲しみつつも、珍しい耳イカを釣って嬉しそうな末永さん、外道であるテナガダコを釣って気持ち悪がっている和光など、それぞれに楽しんだりアクションを起こしたりしていたが、大田が釣って以来、誰も本命の当たりはなかった。
開始から4時間ほどすると、誰もが竿を振るのに飽きてきているように見えてきたため、これは残り時間が少ないと思い、プライドを捨てて大物狙いのエギのアクションをやめて、普通のアクションに変えた。が、それでも何もないことに変わりはなく、皆がもう終わってもいいと思った頃を見計らってトーナメントを終了した。
結果、5時間の長丁場を制した大田が、第一回漢塾イカ釣り大会の優勝者となった。そして、同時に私が優勝して「キング」に返り咲くという目的も潰えた。「キング」に返り咲くという目的が果たせなかったことは悔しいが、初心者で見事、優勝した大田の強運は褒めてやってもいいだろう。このまま大田が勢いづけば、次回大会でまた優勝ということも十分にありうる。
だが、しかし、だ。次回大会で優勝し、「キング」の座に返り咲くのは、この私である。和光が言っていた。「釣れなくても、こうして自然の中で竿を振るのはいいですね。心が落ち着きますよ。」と。食ってばかりで、食い物にしか興味を示さない西川はともかく、和光や大田といった初心者が、釣るだけではない、釣りの醍醐味を分かってくれたことは嬉しかった。和光よ!でも、釣れるようになったら、もっと楽しいぞ!
末永さんの愛娘
千尋ちゃんと夏美ちゃん |
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西川
釣りをしないで食ってばかりの西川 |
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上位入賞者達
中央 - 甲イカを釣って優勝した大田 |
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耳イカ
末永さんが釣った珍しい耳イカ |
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集合写真
最後に集合写真を |
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