第04回 漢塾イカ釣り大会
- カテゴリ
- FISHING
- 開催日
- 2007年05月03日(木)
イカが釣れるのは分かっていた。実は、この一週間前に末永さんと、様子見で釣りに行ったからだ。その時は、私達は釣ることは出来なかったが、他の釣客が大きい甲イカをアジの泳がせ釣りで釣り上げていたのを目撃したし、自分達の真下に泳いでいる巨大なイカも何杯か目撃していた。
そういった経緯から、これは、いける!そう思い、今大会に臨んだわけであるが、ことはそう簡単にはいかなかった。大会開始30分で、末永さんがやはりというか、さすがの腕と貫禄で一杯を釣り上げたものの、それからは全くの泣かず飛ばずであり、開始から1時間もすると、参加者全員に飽きと疲労が見えてきた。
特に初参加者の山猿とマスターの釣りに対する飽き具合は凄まじかった。初参加者の山猿は、釣りが初めてだから仕方がないものの、マスターはイカ釣り大会の常連であるから、これはいただけない。さかんに、「釣れるんですかねえ~。」と連発しながら食ってばかりいた。
さて、そんな停滞した空気を打ち破ったのが、西川の「塾長ぉ~!」という叫び声だった。それを聞いて、「何か釣れたかぁ~!」と、私も叫びながら西川の方へ慌てて駆け寄った。この時、私と西川の距離は300mほど離れていたから、全速力で走って西川のところへ到着した時には、さすがに息が切れていた。
そこで私が目にしたもの、それはイカではなくタコだった。学名 手長ダコという、手の細長いタコである。マスターが第一回イカ釣り大会で釣り上げたものと同じものだが、型はこちらの方が小さかった。
しかし、型は小さかろうと、イカではなくタコであろうと、獲物を釣り上げたことに間違いはない。これまで何も獲物を釣り上げることなく、菓子を食ってばかりいた西川からすれば、もの凄い快挙であった。このことに関しては、褒めてやっても良いと思う。この勢いで今度は本命のイカを釣り上げてもらいたいものだ。
西川がタコを釣り上げて、俄然、他の皆もやる気が出てきたようだったが、30分もするとすぐに飽きてきたようで、やはりというか、またまたマスターの飽き具合は酷かった。自分がタコマスターであるというプライドからか、しきりに「西川のタコは小さかった。」とか、「西川は次もタコが釣れるんでしょうか?」とか、やたら西川のことを意識していた。
「タコなんてそうそう釣れるもんじゃないぞ。」とか、「これはイカ釣り大会なんだから、いくらタコを釣ってもダメなんだぞ。」と、あやしても、マスターは一向に西川に向けた敵対心を失くすことはなかった。
いくら西川がマスターよりタコを多く釣っても、タコマスターの称号はマスターのものなのに、当の西川はタコを釣ることに全く興味はないのに、それでもタコマスターの称号に執着するとは。マスターを見ていると、人間とは愚かな生き物だなと、痛感させられる。執着のない人間なんてこの世に存在しないが、執着は少ない方が良い。また、全てを悟るなんてこともできやしないが、生きている間にできるだけだくさんのことを悟った方が良いのだ。マスターには、反面教師として教わることが多い。 だが、マスターもこのままではタコマスターの座が危ういと思ったのか、底を這わすような、超スローなずる引きで必死にタコを狙う。そんなマスターに応えてか、マスターが気合いを入れてから、大して時間が経たないうちに「釣れたぁ!」という叫び声がマスターからあがった。
マスターの元に急ぎ、到着した時に見たものは、甲イカであった。残念ながらタコではなくイカではあったが、マスターは生まれて初めて釣ったイカらしく、かなり興奮していた。末永さんの釣った甲イカのおよそ倍、約600~700gぐらいあろうかという立派な型だったので、この時点でマスターの優勝は確定した。タコが釣れないで不本意だったかもしれないが、とりあえずは優勝し、第四代イカキングの座につけたことは素直に喜ばなければならない。
西川に対抗意識を燃やしたことが、このような思いもよらない結果になったのは正にラッキーであった。が、これもマスターの日頃の行いの良さと、間違った対抗意識の賜物であった。
マスターがこれから何度もキングの座に就こうと、西川が更に何匹もタコを釣り上げようとも、タコマスターの称号はマスターのものである。マスターのことをイカキングと呼ぶことは絶対にないし、西川のことをタコマスターと呼ぶことも絶対にない。よって、タコマスターという称号に変に執着することなく、次回からは大会の目的であるイカをのびのびと釣ってもらいたいと思う。
あのマスターがイカを釣り上げたことで、他の者も自分でも釣れるのではないかという気持ちを持ったはずだ。確かに、運と根気さえあればテクニックがなくてもどうにかなる。だから、次回大会では、是非とも優勝したことがない者に優勝してもらいたい。
次のキングは誰だ!私が密かに期待を寄せるのは、今回、「食ってばかり男」の汚名を返上した西川である。
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