漢塾RUN番外編 夜間特急

漢塾ラン大分編第三弾のスタート地点であったドライブイン”みちしお”がスタート地点。ここから変態小野一人で、何回かに分けて広島まで走って行く。出発するのは、毎回夜。走るリミットは夜明けまでで。今回の目的地は新山口駅である。途中休憩はなし。私達が再会するのは、ゴールのみ。途中リタイヤした場合は、自分でどうにかして萩まで帰らなければならないという番外編は、本編よりも遥かに苛酷なランである。時刻は、真夜中の午前１２時。驚いたことに”みちしお”の食堂は営業していた。

アホ面の変態小野。これから寒くて暗い中を一人で走らなければならないというのに、悲壮感は全く感じられない。これが、変態小野が変態と呼ばれる所以である。この時は、寒波が到来して雪が舞っていたこともあり、かなり寒かった。故に変態小野もこの重装備。

私達がこれから通る国道２号線は、途中の何ヶ所かが自動車専用道路になっているため、歩行者や自転車は、そこを通れない。よって予め、その迂回路を調べるためにコンビニで立ち読みをする変態小野。迂回路を通ると、国道２号線を通るのみの場合に比べて、かなり遠回りになるが、仕方がない。 ちなみに私は、相棒の”ちゅうげん”に、国道２号線の自動車専用道路のことを指摘されるまで、そのことを全く気にもかけてなかった。

変態小野を置き去りにし、私達は”みちしお”から３５㎞離れたところにあるトラックが多く停まっているパーキングで寝ることに。変態小野は、私達に置いて行かれたため、”何が何でも新山口まで辿り着かなければ！”と、すごく不安で切羽詰った気持ちになったそうだ。だが、この背水の陣にも似た気持ちが、こいつを強くする。苛酷な番外編は、それが目的でもある。 変態小野は、この番外編を”放置プレイ”と言っていたが、それは違う。番外編は、”投げっ放しジャーマン”と言った方が適切である。何故なら、スタートさえさせれば、あとはこいつがゴールしようとすまいと、知ったことではないのだから。 この時、エンジンを切った車内の温度は１℃。ジャンパーを着て寝たから上半身は大丈夫だったが、下半身はジーパンだけなので、大丈夫ではなかった。おかげで途中、何度も目が覚めることに。結局、寒さに耐えられず、午前３時にエンジンをつけることに。それからはぐっすり眠ることが出来た。ちなみに”ちゅうげん”は、一睡も出来なかったようだ。

午前６時に目覚めて、すぐに変態小野に電話する。私が電話する３０分前の午前５時過ぎには新山口駅に到着していたとのこと。約４３㎞の距離を５時間で走ったことになる。まずまずの走りだ。変態小野は、駅内のうどん屋でそばを食おうと思ったらしいが、開店が午前７時らしく、やむなく断念したとのこと。 変態小野の身柄を押さえた私達は、ただちに帰路へついた。深夜に出発して、早朝にはランを終えることの出来る漢塾ラン番外編は、変態小野にしか出来ない企画。拘束時間が短いのが、番外編の魅力だ。

山口県の玄関口である新山口駅。早朝ともあり、私達以外には、駅の構内で働く人しかいなかった。 電車や新幹線が動いてない時間帯も、駅は絶えず動いており、明かりが消えることはない。

木戸山峠を登り終えて、山に入ると、いきなりの雪景色に。ここまで、雪が降っているわけでも積もっているわけでもなかったから、この変わり様には驚いた。だが、大雪対策として、四駆でスタッドレスタイヤ装着の”ちゅうげん”のクルマを使っていたから何の心配も無かった。雪が降ると、走りにくくて危ないのだが、吹雪いている様には、幻想的な美しさも感じられ、思わず見入ってしまった。

晩に”ちゅうげん”のアパートでの打ち上げを行う。脂っこいものと甘いものの食い過ぎで、気持ち悪くなってしまった。打ち上げが出来るのも漢塾ラン番外編の醍醐味。この時、変態小野はビールも食い物もガバガバいっていたのに、翌日にインフルエンザにかかってしまい、休み明けの翌週を棒に振ることになる。 おかげで、変態小野がインフルエンザになったのは私のせいということになり、周りから白い目で見られることに。我が身が可愛いが故に言わせてもらうが、私は変態小野を酷使などしてない。ただ、投げっ放しジャーマンをしただけだ。これとインフルエンザの間に因果関係は全くない。こいつが、インフルエンザになったのは、自己責任だ。気の緩みがあるから、驕った気持ちがあるからこうなるのだ。まだまだ甘い。激甘である！ 己を鍛えるために、漢を磨くために番外編をやったのに、逆に人に迷惑をかけるようでは、つまらんぞ！！