未確認飛行物体

仕事を終えてから、後輩と我が家の庭でアームレスリングの練習をしていた時のことである。

その日は晴れた日で、夜空に星がよく見えて綺麗だったため、インターバルの時にふと星空を見上げた。

その瞬間である。南西の方の空に周りの星の4~5倍の大きさはあろうかという赤い光が現れて、真横に猛スピードで3秒くらい移動した後にフッと消えたのである。

私は、それを見ている最中に「なんじゃありゃあ!!こっち来てみい!」と、声を張り上げて離れた場所にいる後輩を呼んだが、後輩が私のところに来た時は、時既に遅しだった。

やむなく、自分が見たことを後輩に熱く語るも、こいつは、それを見てないためか、「ふ~ん。そうなんですかぁ。」と、気の無い返事しかしない。

その気持ちのこもってない返事に腹の立った私は、「お前は宇宙人の存在を信じるのか?俺は信じるんやけどな。きっちりとお前の意見を述べてみいや!」と、声を荒げて後輩に詰め寄った。

「宇宙は無限に広がっていて、億や兆の単位では足りないほどの星があるんですから、宇宙人がいないという方がおかしいですよ。」と、後輩。

「うん、うん。ということは、お前は宇宙人の存在を信じると思うてええんやな。」

「勿論ですよ!宇宙人やUFOを見たことがないということが、いないということにはなりません。僕は信じてます。」

「うん、うん。お前は、なかなか柔軟なものの見方をする奴やの。それでやな。パッと現れてパッと消えた俺の見た光る物体はやな、隕石や流れ星では説明できんぞ。隕石や流れ星なら、真横には動かんからな。飛行機はどうかとも思うたけど、これだってパッと現れてパッと消えることはないからな。それにあんなにスピードは出んぞ。現に今、あそこの空を見たら飛行機はチカチカと光を点燈させながらゆっくりと飛んどるやないか。と、なると、お前は俺の見たものは何やと思う?」

「それはまさしくUFOだと思いますよ。ああ、僕も見たかったなあ。」

「そうか、そうか!惜しかったのう。」

結局、私達はそれからは練習を止めて、宇宙と宇宙人の話ばかり話していたわけだが。

その翌日である。ラジオで、”前日の晩に夜空に宇宙ステーションを見た!”というリスナーからの便りが相次いでいるのを聞いた。リスナーからの状況報告には、私の見た状況と似ているものもあった。

そのため、”昨日俺が見たのは、もしかしてこれ?”という不安が胸をよぎった。

この唯一の不安要素さえ無ければ、”俺が見たのは、UFOだ!”と断言してしまえたのに。これがあるおかげで、あれがUFOであるという可能性が限りなく薄くなってしまった。

初めてUFOを見たと喜んでたのに。

ラジオなんて聞かなきゃよかった!

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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