学研のおばちゃん
トゥルルルッ!トゥルルルッ!と、携帯が鳴る。
携帯の画面を見ると、あの人の名前が。
急いで電話に出る。
「もしもし!おはよう。」
「おはようございます。今日の午前中はいらっしゃいますか?」
「おうっ!午前中ならおるぞ!」
「そうですか!それなら、○○時くらいに行きましょう。活きのいいのを仕入れたんで。」
「そうか!そうか!それなら楽しみに待っとるぞ!」
と言って電話を切った。
マスさんが家に来るまで、私は楽しみで胸を躍らせた。
心の中では、”まだかな!まだかな!学研のおばちゃんまだかな~。”という学研のおばちゃんのテーマ曲が鳴っている。
“今日は何を持って来てくれるのかな?””メタルの新譜か?それともマンガの新刊か?”
マスさんを待つ時の心境は、子供の頃、学研のおばちゃんが来るのを待っていた時の心境と全く同じだ。
まさか、この歳になってまで、あの時と同じ心境になれるとは!
そうならせてくれるマスさんにはいくら感謝してもしきれるものではない。
しばらくしてマスさんが来た。
ピンポ~ンッ!
「学研のおばちゃんで~すっ!」
この声を聞いて、私は玄関のドアを急いで開ける。
ドアの外には、学研のおばちゃんというよりは、街のチンピラと言った方が相応しい風貌のマスさんが。
マスさんが手に持つは、2枚の活きの良いメタルの新譜。
有難く、それを受け取る私。
このようなやりとりが、もう6~7年は続いている。
世の趨勢で、学研のおばちゃんがいなくなった現在、マスさんは私にとって正に学研のおばちゃん的存在である。
マスさんのおかげで、私は楽しく刺激的な日々を過ごせている。
私の人生における楽しみの10分の1くらいはマスさんが担っていると言っても決して過言ではない。
マスさんは、本当に良い仕事をしている。
素晴らしいと思う。
マスさん!
これからも頼むぞ!
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