ふと思うこと
ソファーに座ってテレビを見ている長女を見てふと思った。
「6年前は、こいつはここに居なかったんだな!」と。そして、ここまでのことに思いを巡らせた。
私達夫婦は、17年前に結婚した。それから12年間は2人きりの生活だった。それはそれで悪くなかった。自分の好きなようにお金が使えて、自由な時間もたくさんあった。
妻は、子供を欲しいと思ってはいたようだが、私は最初はどちらでも良かった。“欲しい”と思うようになったのは、後のことだ。
妻の仕事が忙しくなった頃には諦め感もあった。結婚してから12年目に妻から「子供が出来た!」と聞いた時は、嬉しいという感情よりも、「えっ、ほんと!」というような信じられないという感情の方が勝った。
子供を授かったという実感が沸いてくるまでには時間を要したものだ。
子を持つどこの家庭でも同じだと思うが、長女をここまで育てるのは人並みに大変だった。おかげで両親への感謝の気持ちも抱くようになった。
長女が生まれてから1年9ヶ月後に長男が生まれた。この男のことは全くノーマークであったが、兄弟が出来たことは嬉しいことだった。
この5年間で家族が2人増えた。家の中はとても賑やかになった。
たまに自分の時間が欲しいと思う時もある。だが、子供たちの生まれる前に戻りたいとは思わない。
今が一番いいからだ。
ふと、我に返ると、テレビを見て笑っている長女がいる。
その存在を意識する度に“ありがたい”という感情や幸福感に包まれる。
今、私の生活の中には、この“ふと思うこと”というのが、至るところに転がっている。
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