花粉症

私が花粉症になったのは、高校卒業を間近に控えた春である。当時、早々と進学先も決まって受験勉強をする必要のなかった私は、遊ぶ小遣いを稼ぐために畳屋でバイトをしていた。畳屋の作業場は、非常にほこりの多いところである。最初は何ともなかったのだが、働きだして一週間もすると、くしゃみがとまらないことや、鼻がつまって息がしにくいことなど、体の異常を感じだした。それで、念のために病院へ行ったところ、花粉症と診断されたのである。

畳屋のほこりの多い作業場と、花粉症の因果関係があるのか無いのかは、わからないが、それが引き金になったことは事実である。

最初は、こんなの大した病気じゃないと思ってナメていたが、なってからはかなり苦しめられた。目が痒い、くしゃみが止まらない、鼻がつまる。これらの花粉症の三大症状にはどれも苦しめられたのだが、中でも特に苦しめられたのは、鼻づまりであった。鼻がつまると話がしにくいし、ものを食べてもおいしくないし、そして何よりも睡眠をとることが非常に困難になるのだ。おかげで、3月の始めから4月の始めにかけての1ヶ月間は、寝不足でイライラしていることが多かった。

薬は嫌いなので、なるべく飲まないようにしていたが、それでも症状がひどくてどうにもならない時は飲んでいた。また、出かける時は、ポケットティッシュが必需品だった。この時期は、こすり過ぎで目はいつも充血、鼻はかみすぎで、鼻と鼻の下はいつも真っ赤、鼻で息ができないので、いつもポカーンと口を開けているという情けない姿だった。そのため、毎年、この時期が来るのが嫌で嫌でたまらなかった。

しかし、その苦しみも長くは続かなかった。9年前ぐらいを境に症状が好転してきたのである。年々、鼻のつまり具合が改善され、6年前ぐらい前からは鼻水は出るものの、殆ど鼻がつまることはなくなった。そして今では、目をこすりだすと痒くて止まらなくなるという症状は未だにあるものの、鼻にいたっては、この時期でもいつも両方の穴ともに開通してるという状態である。もう9割方完治したといってもいいだろう。

何も花粉症対策をしていないのに何故、改善の方向に向かっているのかは分からないが、改善されているのはとても有難いことである。おかげで、この時期も快適に過ごしている。


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