初ボーナス
新卒で採用されてから3ヶ月。世間は、夏のボーナスが出る時期ではあったが、就職したばかりで会社に対して何の役にもたってない自分には関係ないものと思っていた。
しかし、ある日仕事を終えて帰ろうとすると、経理の人に呼び止められ「これからも頑張ってね!」と言われて、紙封筒を手渡された。何だろう?と思い、中を見ると、明細と現金が12,000円ほど入っていた。
好きなものでも食えということで渡されたのかと思ったが、明細を見ると、「夏季賞与」と書いてある。どうやらそれはボーナスらしかった。
支給額が20,000円で、所得税やその他諸々引かれて手取りが12,000円。1回飲みに行ったらなくなる額であった。大手企業に就職した友人達から、自分は幾らもらったとかいう話を聞いていたから、それに比べると雀の涙のような額だった。
でも、嬉しかった。本来ならば、無いものと思っていたボーナスだったし、何よりも初めてもらったということが一番大きかった。
そのわずかばかりのボーナスは、両親へのプレゼント代になった。親父にはハゲ隠しの帽子を、おふくろには幸福の青い鳥の色にかこつけて青色の財布を贈った。それらのものは12年経った今でも両親に愛用されている。
12年前の初ボーナスが、形を変えて現在まで残ったおかげで、有難いことに簡単に当時の感動を思い出すことができる。今改めて、良い使い方をしたものだとしみじみ感じている。
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