帳尻合わせ

今年も山口県アームレスリング選手権大会に出場した。

私の実力では、とても優勝を狙えるものではないというのが分かってはいたのだが、クジ運の良さと自分より数段格上の人に10年に一度あるかないかのまぐれで勝ったばかりに決勝に進んでしまった。

「俺みたいな実力のない者が決勝に出てもいいの?」と思ったが、決勝に進むとなると不思議と欲が出るもの。自分の実力のなさもかえりみず、「もしかしたらいける?」なんて考えながら決勝に臨んだものの、まぐれは2回も起こるはずがなく、真の実力者の2人にコテンパンにやられて、私の今年の挑戦は終わったのだった。

そして、大会の帰り道。腹が減ったということで、とあるうどん屋に寄った。日曜日の晩飯時だというのに、店内には私達しか客がいないのと、店主が無愛想で挨拶もしないのが気にはなったが、腹が減っていたのでそれをいつまでも気にすることなく、すぐにトンカツ定食を注文した。

しかし、出てきたトンカツ定食はトンカツにうどん、ごはん、付け合せの全てが、10年に一度お目にかかれるかどうかの不味さだった。おかげで、出されたものはどんなものでも全て食べ尽くすことをモットーとしている私が、半分以上残してしまった。

小さい頃からごはんつぶ一つさえ残さないよう教育を受けてきた私にとっては、いくら不味いものでも、出されたものを残したということ自体がすごくショックなことであった。

まぐれで勝ったことがプラスのこととすれば、まぐれでもなければ当たることのない不味い店に入ったことはマイナスのこと。

世の中、帳尻が合っている。


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