他人の不幸

以前より完成させていたお遍路のレポートをホームページにアップさせようと思い、アホの末に電話した。

“トゥルルルルルッ!トゥルルルルルッ!ガシャッ!”2回目の呼び出し音で電話に出た。

いつもより早い方だ。

俺「もしもぉしっ!俺じゃあ!」

アホ「・・・・・。」

俺「もしもぉしっ!俺じゃあ!聞こえんのかっ!」

アホ「ゴニョ、ゴニョ、ゴニョ・・・。」

俺「お前、何を言っとんの?電話が遠いんか?よう聞こえんのやけど。」

そう言うと、やっとアホの末がどうにか聞こえるぐらいの声で話し始めた。

いつもの3分の1くらいの声の大きさ。声に全く覇気がない。

俺「お前どうしたん?ん?もしかして今、仕事?」

アホ「ぉぉ・・。毎日、11時ぐらいまで仕事や。今のところ仕事が終るメドが全くたたん。しばらくは休めそうにない。ゴールデンウィークもどうなるか分からん。何も約束ができん。」

俺「何や!11時くらいやったら、大したことないやん。その日に帰れるやん。以前は、毎日のように朝までやっとったろうが?そのくらいやったらどうにかなるで。女房、子供のためにも、まあ頑張れや!」

アホ「お前、嬉しそうやの。本当に他人事やの。」

俺「そんなことないで!気の毒に思うから、励ましてやっとるんやないか。」

※内心、面白がっている。

アホ「嘘つけ!」

※少し、声が大きくなった。

俺「ホームページ更新しようと思ったけど、これじゃあ当分無理やな。また電話するわ!」

そう言って、電話を切った。

他人の不幸は密の味と言う。私は、他人の不幸を面白がる人間ではない。そんなに人間が腐りきってはないと自負している。

だが、アホの末のこととなれば、話は別だ。こいつの常軌を逸した残業の話を聞くと、気の毒と思いながらも面白がっている自分がいるのも確かだ。

ただ、これがずっと続くと漢塾の活動にも影響を及ぼすようになるから困る。今年は、イベントが目白押しだし、ホームページのリニューアルも控えている。こいつが動けないと、リニューアルはできないし、イベントの変更も余儀なくされてしまう。

公言した以上、それは避けたいので、ここは漢塾のためにも、頑張って毎日朝まで残業をしてもらって時間を作ってもらうしかないだろう。とりあえずは、電話する度に”頑張れよ!”と、エールだけは送ってやろうと思っている。

 

 


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