思い入れ

本州と九州を結ぶ最後のブルートレインである”はやぶさ”と”富士”。

おそらく、私は両方共に乗ったことがある。

3才から6才の頃までは、私の運賃が無料のため、毎月のように祖父に連れられて東京に行っていたためだ。

新幹線もあるのに、何故これかというと、当時祖父はまだ現役であり、仕事を終えてからこっちを出発していたため、夜に出発するこれになったわけである。

ブルートレインに乗った回数は優に20回を越える。故に、新幹線では当時より2時間も新山口~東京間の時間が短縮され、飛行機で東京へ行くのが普通になった現在でも、東京へはブルートレインで行くものというイメージが未だに私の中にはある。

車両の中の独特な匂いや雰囲気、心地良い揺れ、車窓からの眺め、寝て起きたら目的地に着いているという気楽さなど、様々なことが今でも印象深く記憶に残っている。中でも食堂車での食事は最も強い記憶としてある。

いつも食っていたのは、サンドウィッチやスパゲッティーなど。当時でもご馳走と言えるものではない。だが、食堂車という特別な空間であることが作用しているからだろうか、すごくリッチな気分を味わえたものだった。

その思い出を作ってくれたブルートレインがなくなる。交通機関が高速化された今の世では不要のものとなっており、いつかはこうなることは分かっていたから、仕方がないと納得もできる。

ただ、いざ本当になくなると思うと、寂しいものである。

これでまた思い入れのあるものが減った・・・。


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