予想外

萩の名物である夏みかんだが、近年は夏みかんよりも糖度の高い甘夏が出回り、市場で夏みかんを見かけることは少なくなった。

先日、そんなレアな夏みかんを親父の友人の夏みかん畑で大量に収穫し、妻の家元や知人に配った。

夏みかんと甘夏の見た目は似ている。私のような興味の無い素人には区別がつかない。違いは、夏みかんの方が皮が厚くゴツゴツしていることと、酸味が強いということらしい。

こんなもの誰も食わないと思っていた。

しかし、そんな酸っぱい夏みかんの需要が結構ある。

これよりも甘い柑橘類はたくさんあるのにだ。

それは、私のように柑橘類に甘さを求める者とは反対に酸っぱさや爽やかさを求める者がいるからである。

夏みかんを配った人達は口々に言った。

「この酸っぱいのがええんよ!」と。

更に言うには、「買いたくても売ってないんよ!」と。

配ったどの方々からも、とても感謝されたのだが、問題は欲しくても市場にものが無いということであった。

夏みかんの栽培面積は過去に比べると減っており、収穫された殆どは菓子やジュースなどの加工用である。また私が貰いに行った親父の友人のように市場に出さない人も多いから、今後もレアであることに変わりはないだろう。

甘夏ほどではないにしろ、需要があるのに。

これを楽しみにしている人がいるのに。

ものが無いとは、勿体ねぇ。


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