再現
思い立った次の日に、さっそく双美食堂のから揚げ定食を再現を試みた。
作るのは、まずは味噌汁から。
双美食堂の味噌汁は、赤味噌が効いた味の濃い味噌汁である。おそらく合わせ味噌を使っているものと思われるが、我が家には合わせ味噌がないので、味噌汁の完全な再現は諦める。
また、双美食堂のポテトサラダにはハムが入っていたが、ハムを買ってなかったので、ポテトサラダの完全な再現も諦める
よって、完全再現を試みるのは主役のから揚げ=鶏の天ぷらだけになった。
双美食堂の鶏天は、肉の長さが7~8cm、幅と高さ共に2cm~2.5cmであったことを覚えているので、忠実にその長さに切る。
鶏肉にコショウが効いていた覚えはなかったので、鶏肉には少しの塩だけまぶす。衣は柔らかめであったので、小麦粉には多少水を多めに入れ、空気を含ませるためによくかき混ぜる。
そして、鶏天の一番の肝である幅3㎝ほどに切った海苔を鶏肉に巻く。
それを衣にくぐらせて油で揚げるわけだが、使用していた油の種類が分からないために仕方がなく我が家にある紅花油で揚げる。これは、油の違いでは味には大きい影響が出ないだろうと考えてのことだ。
双美食堂の鶏天は、キツネ色に焦げ目の付かないほぼ真っ白な衣に仕上がっていたので、主に低温で焦げ目が付かないように慎重に揚げる。
こうして苦闘すること1時間半。全てのものが出来上がった。
味噌汁とポテトサラダは別物だから評価の対象外として、鶏天の味はというと。
・・・う~ん?
衣はサクサク揚がって中身はジューシーで軟らかく、これはこれでなかなか美味いのだが、出来たものは双美食堂の味とは全く違っていた。
双美食堂の鶏天の衣はサクサクではなくフワフワしていた。塩気も私のよりも強かった。そして肉もジューシーではなく、もっと硬くて噛み応えがあった。
それら全てを総合すると、出来たものは味が違うというよりも別物なのである。
その原因はいろいろ考えられる。使う油が違ったからなのかもしれないし、塩の分量が違ったからかもしれない。揚げ方が違ったのかもしれない。これ以外にも原因はあるかもしれないが、いずれにせよ双美食堂の鶏天の味の再現には失敗してしまった。
単純な料理とはいえ、使う材料や作る手順を見た訳ではないので、やはりそう簡単にその味を再現することは出来なさそうだ。
だが、諦めない。無性に食いたくなった時にすぐに食えるようにするためにも、暗中模索ながら今後も双美食堂の味を追求していく。
面倒くさいが、自分にとってはやるだけの価値はある。
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