セカンドネーム
2人の弟がいる。
真ん中の名前はケンジロウ、末の名前はマモルという。
今は使ってないが、この2人には私の付けた呼び名がある。
ケンジロウのは、ケンヅロウヌボゥォ。マモルはウロヅモヌマである。
両方とも子供の頃に私の付けた呼び名だ。
両方とも、2人の名前を崩したものだ。
どのように崩したのか?
かすかな記憶を辿ると。
ケンジロウは、ケンジロウ→ケンヅロウ→ケンヅロウノ→ケンヅロウヌボ→ケンヅロウヌボゥォ(完成)。と、変わっていったような気がする。
ケンジロウ→ケンヅロウヌボゥォ。崩れに崩れたが、どうにか2割ぐらい原型を留めているといったところか。
出だしの2文字が同じなので、ケンジロウのことを知っている者なら、この呼び名を聞いて、これはケンジロウのことだとピンとくるのではなかろうか。
我ながら、良い崩しだと自負しているところだ。
次にマモル。
マモル→マモヅロウ→マモヅロウヌボ→モヅロウヌマ→ウロヅモヌマ(完成)
2回変化したところまではケンジロウと同じだ。
だが、ここからが恐ろしい。
どう崩したらマモヅロウヌボからモヅロウヌマ、そして更にウロヅモヌマとなるのか?
ケンジロウの場合は、読み方の音の流れで変化しながら最終形まで至っていたし、それは確固たる自然の法則に沿っていた。故に出来上がったものは美しかった。
しかし、マモルの場合は、違う。
途中まで上手く流れや法則に沿っていたものが、いきなりそこから逸脱してしまったのだ。
故に出来上がったものは、全く原型を留めてないし、美しくない。
マモルのことをよく知っている者でも、この呼び名を聞いて、これはマモルのことだとピンとくる者はおるまい。
何で、こんなことをしてしまったのか?
やった当の本人の私でさえ覚えてない。
可哀想なことをしたものだと思うが、これが最終形でしかも私の記憶に深く刻みこまれているため、もうどうすることも出来ない。
ケンヅロウヌボゥォにウロヅモヌマ。
今は使ってないにしろ、これが私の心の中での2人の呼び名である。
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