Road To 出雲 第二弾
- カテゴリ
- RUN
- 開催日
- 2005年08月06日(土)
8月6日、意識してこの日にランを行うと決めたわけではないが、この日は60年前に広島に原爆が投下された日だった。そんな日にランを決行するわけだから、厳粛な気持ちにならざるをえなかった。
この日は、60年前と同じ、ギラギラに太陽が照りつける猛暑であった。熱中症対策として、まず、給水の間隔は、いつもの5~6㎞から3~4㎞に短縮し、全員に帽子及びタオルの着用を義務づけた。そして、完走することは大事だが、あまり無理をしないように、ダメと思ったらリタイヤするように、無理し過ぎて熱中症になっても私は一切、責任を負わないことを全員に言い聞かせた。厳重なる熱中症対策と、責任の所在を明らかにしたところで、これで大丈夫かな?という気にもなったが、この暑さでは何が起こるかわからない。塾長として、給水車で皆をサポートしながらも、常に皆の体調を気にかけることにした。
今回は、田万川の道の駅からスタートするため、前回よりも一時間早く、午前6時に萩市役所に集合して、田万川の道の駅に向けて出発した。小野の遅刻というアクシデントがあったものの、ほぼ予定通りの時間に田万川の道の駅に到着。入念な準備運動をして、午前7時17分に島根県三隅町の道の駅に向けて、スタートした。
今回は、寡黙な男の吉田が、仕事で参加できなかったが、その代わりに、以前から私が参加するようにと、しつこくアプローチしていたマラさんが、重い腰を上げて参加することとなった。マラさんは、体力的には今回参加する4人の中では、一番下だが、負けず嫌いで責任感の強いところがある奴なので、どうにか完走できるのでは?と期待をかけていた。が、なまじ負けず嫌いで責任感の強いばかりに、無理をし過ぎて熱中症になる可能性も大きかったので、ちょっと心配だった。
そんな私の心配をよそに、最初は皆、結構なペースでとばす。スタートしてから2㎞地点では、誰も給水せずに、給水車を素通りした。
スタートしてから1時間ほど走った益田市に入ったばかりのところで、まずは最初の休憩をしたが、まだ6~7㎞しか走ってないこともあって全員ピンピンしていた。しかし、徐々に気温が上昇してきていることもあるので、全員同じペースで一緒に走ることを指示した。これは、給水車が1台しかないため、ペースが速い者と、遅い者との間の距離が大きくなると、双方に給水がしにくくなるからである。塾生達は、私の指示を素直に聞き入れて、黙々と走っていた。
スタートから2時間走った持石海岸では、眺めが良いこともあって、幾らか塾生達のペースも上がった。やはり、夏の海は良い!しかし、この頃から気温がグングン上がってきたので、塾生達の水分消費量も増加した。ここでは、「まだ疲れてない今のうちに食えるだけ食っとけよ!」と、塾生達に食うことを指示。塾生達は、私の指示を素直に聞き入れて、黙々と食っていた。
スタートから3時間半経ち、益田市内のポプラに一足先に着いた私は、ここで冷やし中華を買って腹ごしらえ。そのあまりもの不味さに、「金返せ!」と、店内に駆け込もうかと思ってしまった。ここでは、私のポケットマネーで、塾生達にアイスを奢った。火照った体を冷ますためにか、アイスにむしゃぶりつく塾生達。せっかく私が奢ったのだから、そんなに急いで食わないで、ゆっくり味わって食うことを指示。だが、誰も私の言うことを聞きゃあしなかった。
スタートから4時間20分経ったところで、益田市内から抜けることができた。この辺りから曇ってきて、陽射しも和らいだため、少しは走りやすくなったようだった。が、この辺りから山ちゃんとマラさんが足が痛んできたのか、ペースが落ちたように思えた。 実際、殆ど歩くペースと変わらなかった。しかし、私の指示どおり岡田、小野ともペースを2人に合わせていた。ここでは、曇って涼しくなってきたため、ここから先は給水の間隔を長くするので、休憩の時はできるだけ飲んでおくことを指示。塾生達は私の指示を素直に受け入れてガブガブ飲んでいた。
この休憩が終わって出発する時に、小野がシビレをきらしたのか、本隊から離脱。今まで皆に合わせていた鬱憤を晴らすかのように猛ダッシュ!すぐに見えなくなってしまった。スピードなら漢塾ナンバーワンである岡田も、それについて行くかと思いきや、本隊から離れる様子はなかった。この普段は何を考えているか分からない男は、一体何を考えているのだろうか?とりあえず小野を追いかけ、適度な距離を走ったところで、小野を捕まえ、給水させた。
もう既に本隊とは1㎞以上距離が開いており、これからますます距離が開くであろうことから、小野にペースダウンを指示。しかし、普段は温厚で虫も殺せないようなこの男も、たぎる血が抑えられないのか、私の言うことを聞きゃあしない。これは、やりたいようにやらせるしかないと思った私は、それならば、ペットボトルを持って走るように指示。だが、ペットボトルは重くて邪魔になるからいらないと、またもや私の言うことを聞きゃあしない。この男、以外と頑固なのかも!それならば、「せめて金だけは持って走れ!」と指示したところ、ようやく私の指示を聞き入れて、150円だけ、しっかりと握り締めて走り去った。
小野から遅れること15分で、本隊の連中が到着。岡田に何時、本気を出すのかと尋ねたところ、ラスト10㎞をきったところから考えているとのことだった。本当は、小野を追っかけたくてウズウズしているところだろうが、給水のことを考えて皆にペースを合わせるとは、この男、何を考えているのか分からないながらも、以外と人間ができているのかも。
皆の休憩が終わったところで、急いで小野を追いかけた。小野は、本隊から既に4㎞離れたところを走っていた。午後からは4~5㎞間隔で、給水しているので、給水が間に合うギリギリの距離である。これ以上、距離が開くと、小野と本隊の間を行ったり来たりしなければならなくなり、スムーズに給水ができなくなる。だが、今さらペースを落とせ!と指示したところで、この頑固者は聞きゃあしない。それならば、せめて給水だけでも!と思い、車を対向車線側に停めて、小野を待ち伏せし、近づいて来たところで、「給水していけぇ~!」と、大声で叫んだが、小野は両手を×印にクロスさせて、給水は必要ないことを表現し、そのまま走り去った。給水せんで大丈夫か?と思ったが、これで熱中症になって倒れようとも本人の責任。どうぞ好きなようにやってくれと、半ばなげやりな気持ちになった。小野は筋金入りの頑固者である。
小野が走り去ってから40分後に本隊が到着。岡田はマラさん山ちゃんの2人にペースを合わせているから、まだ余裕の様子だった。山ちゃんも足の痛みは、2回目の慣れからか、先ほどとそんなに変わらない様子だったが、問題はマラさんであった。到着するなり、足の痛さのあまり、足を投げ出し、終いには大の字になる始末。初めての長距離ランの洗礼を受けている真っ最中だった。ここでは、足の痛みと疲れからか、岡田を除いた2人は口数が少なかった。疲れをとるためにも、長めに休憩をすることを塾生達に指示。塾生達は、私の指示を素直に聞き入れて、黙ってうなだれて座っていた。
小野から遅れること50分、ようやく本隊が出発した。小野のことは見捨てたとはいえ、やはり可愛い塾生のことは気になるので、猛スピードで小野を追ったが、5㎞を走り、6㎞を走っても小野の姿は見えなかった。これ以上行くと、本隊と離れすぎてしまうと思ったので、6㎞を越えたところで追跡を諦めた。いくら、前半で力をセーブしていたとはいえ、何というスタミナとスピードであろうか。2回目ということで、慣れもあるのかもしれないが、小野はとんでもなく進化しているように見えた。さすがである。
前回の給水ポイントから距離が離れていることもあり、本隊が到着するまではかなり待った。おかげで退屈だった。岡田は、ここから少し本気をだして走るという。もう小野は到着しているかもしれないが、そんなことは関係ないという。やはり岡田もランナーとしての血が騒ぐのか。私も残り約10㎞を悔いのないように走ってくれとだけ指示した。マラさんと山ちゃんには、足の痛み故に、これからペースがどんどん落ちることが予想できたので、とにかくどんなに時間がかかってもいいから完走してくれと指示した。ある程度先が見えたので、2人とも切れかかっていた気持ちに再び火がついたようだった。
5㎞ほど先の最後の給水ポイントには、岡田が先に到着。これまで力をセーブしていたせいか、全く疲れを感じさせない走りだった。岡田は、給水することなくそのまま走り去った。岡田からかなり遅れてマラさんと山ちゃんが到着。ポーカーフェイスで、足が痛いことを自分からは口に出さない山ちゃんとは対照的に、マラさんは苦痛で顔を歪めながら「痛てぇ!痛てぇ!」とのたうちまわっていた。その対比が面白く、しばらくは笑いをこらえながらその光景を眺めていた。足の痛みを癒すために、しばらくは休憩させてやりたかったところだが、あまり休憩すると、動けなくなる恐れがあったので、給水だけしたらすぐに出発するように指示。2人とも素直に私の指示を聞き入れ、痛い足をひきずりながら歩き去った。
最後の給水ポイントから、ラストの三隅町の道の駅までは、距離が短いものの、延々ときつい上りが続く、今回のランの中で一番の難所である。ここまで来ればマラさんの完走は間違いないものと思われたが、ここで足に更なるダメージを受けることは間違いなかった。
道の駅まで行く途中に懸命に坂を上っている最中の岡田を見つけたが、さすがの岡田も辛そうだった。道の駅に到着後、小野を探すが、見つけられない。いくら探しても見つけられないので、これはもしや道の駅が分からないで通り越してしまったのかと不安になった。携帯に電話してもつながらないので、車で探しに行こうかと思ったところに「○○さん!」と、後ろから声が。振り返ると、その声の主は小野であった。あれだけ探しても見つけられなかったから、「お前どこにおったん?」と問うたところ、みやげ物やレストランの入った建物の中で、涼んでいたとのことだった。建物の中も隅々まで探したはずなのに何故見つけられなかったのだろうか?まったく不思議な奴である。
小野は、2時過ぎには到着していたというから、私が到着する2時間近く前に到着していたことになる。足も痛くはなく、疲れもないとのことだった。それよりも、手持ちの150円を途中で使ってしまい、到着した時から喉が渇いてひもじい思いをしたらしい。それならば、冷たいものでも奢ってやろうと、自動販売機まで行きかけたところに岡田が到着。坂で少し手こずったようだったが、小野と同じく、足の痛みも疲れもないとのことだった。
それから30分ほど後にマラさんと山ちゃんの2人が到着。マラさんは、足の痛みが、もう限界ギリギリだったらしい。それに対して、山ちゃんの方は前回よりも足の痛みは、大したことないらしく、体力的にも今回の方が楽だと言っていた。前回より3㎞も長く、険しい道程を初挑戦で完走したマラさんの根性は大したものだと思ったが、前回から引き続き参加している岡田、小野、山ちゃんの進化のしようにも驚かされた。この2ヶ月の間に鍛錬したからか、2回目ということで慣れたのかは分からないが、進化していてくれたことが嬉しかった。
今回のランでは、誰も熱中症にもならず、全員が完走できたことで、私もホッと胸を撫で下ろすことができた。一番きつい時期でのランを完遂したことは、塾生達には大きな自信になったはず。この調子ならば、次回ランで塾生達は更に進化した姿を見せてくれることだろう。
参加者の感想
山ちゃん
Road to 出雲第1弾で経験した肉体的な痛みで、苦痛に対してすごく臆病になっていた。スタートからゴールまでずっと弱気だった。なので次回は攻めの前進です。
マラさん
30キロ過ぎたぐらいから、立っているのも嫌になるくらい足が痛くなってきて、「次回は塾長が何と言おうと絶対欠席しよう。ていうか塾長は何で車なんだ!?」などと考えながらひたすら歩いていました。しかし、何とか10時間かかってゴールした時は、達成感と爽快感で「やってよかった!」と不本意ながら思ってしまいました。ただ、決して次回も参加すると決めた訳ではありません!僕にその選択権があるのかは不明ですが・・・。
小野
前回の反省と教訓から、今回は前半をゆっくり行き、足の様子をみて、後半に頑張ろうと思っていた。幸い、前半で足の疲労を抑えたので、最後まで足を痛めることなく、比較的楽に走ることができた。天候にも恵まれ、途中で雨が降ってくれたのも幸いした。次回は、ゆっくりでもいいから、全部走りきれるように頑張りたいです・・ 最後に、完走したときの充実感はほんとにいいもので、これもひとえに、僕らのために車で伴走し、アイスクリームまでおごってくれた田島さんのおかげです。お世話になりました。
岡田
日頃走り込みをしてはいますが、やはり距離が違うので完走は無理でしたが、何ともいえない達成感というものがありました。残り3回(?)もこの調子で(あわよくば完走を目指して)頑張りたいと思います。
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