シミュレーション

ヒグマと闘うシミュレーションをしてみた。

ヒグマは体長2~3m、体重が2~500㎏ある日本では最大の肉食獣だ。力は強く、牛馬の太い首でも前足の一撃でへし折るという。毎年1~2人がこいつに殺されている。

200㎏クラスの小さい個体であっても、パワーは成人男性の10倍以上はあるだろう。おまけにこいつは、鋭い爪と牙を持っている。それで急所を噛まれたり、顔面を引っ掻かれたりしたらひとたまりもない。まさに闘うために生まれたバトルマシーンといったところだ。

「さあ、このバトルマシーンとどう闘う?」

そう自分に問いかけた。

真正面から向かって行っては絶対にダメだ。殴り合いをしても、こちらの打撃は全身筋肉と脂肪に覆われた奴には効かず、奴の打撃が一撃でも入れば終了だからだ。

奴が、前足を地面に着けた瞬間を狙い、前足の内側を狙ってローキックを撃つということも考えたが、ローキックを撃っても効かないだろうし、ローキックが当たるよりも先に噛みつかれて終了だろう。

そこで考えたのが、グルグルと相手の周りを回りながら、向こうがこちらを向いて立ち上がった瞬間に斜め横から高速タックルをかまし、そのまま相手の下腹部にしがみつき、そこから背中によじ登って、最後はスリーパーホールドで締め上げるという方法だ。

クマが回転するのは、おそらく人間より遅いし、下腹部にしがみつけて背中によじのぼれさえすれば、前足が短い相手の一撃を喰らうことはない。そして、首はどの動物でも急所である。

ただし、これには難が3つある。1つは、立ち上がってくれなかったらアウトだということ。もう1つは、タックルを上から抑え込まれたり、前足の一撃で叩かれたらアウトだということ。最後は、タックルが成功しても振り落とされたらアウトだということ。

これを実行したとして、限りなく0に近いぐらい成功する可能性は低いが、素手でヒグマと闘って生き残る方法はこれしかない。だが、万が一成功したとしても仕留めることは出来ない。

ゴリラ並みのパワーがないと、スリーパーホールドでヒグマを締め殺すことは出来ないからだ。せいぜい相手が戦意を喪失した隙に逃げれるぐらいだろう。勝てるわけではない。

ヒグマと人間との戦闘能力の差は、3才児と大人ぐらいの差がある。かつて“熊殺し”と言われた空手家がいたが、あんなのは嘘だ。どんなに人間としての戦闘能力が秀でても素手でヒグマを殺すことは出来ない。3才児が大人を素手で倒せないのと一緒だからだ。

よって、どんなに腕っぷしに自信があってもクマさんと闘ってはいけない。森でクマさんに出会った時は、逃げることをお勧めする。しかし、どうしても逃げられない時は、私の方法を試して潔く闘ってもらいたい。

そうすれば、生存確率は0ではなくなるかも。

 


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