総合格闘技に物申す

総合格闘技が好きだ。鍛え抜かれた体と技と精神力のぶつかりあう姿、倒すか倒されるかの緊迫感がたまらない。ついつい、自分の応援する選手に激しく感情移入してしまうので、観ていてすごく興奮する。日頃、殆ど興奮することなどないが、この時ばかりは興奮してしまう。また、実戦に近いことが、総合格闘技に入れ込んでいる理由でもある。

私が総合格闘技と出会ったのは11年前。アルティメットファイトを初めて見た時は、「これはルールのある喧嘩だ!」と思って興奮したし、ヒクソンの強さを目の当たりにした時には、「こいつこそが世界最強だ!」と思って、その強さに憧れた。

今ではヒクソンよりも強いと思われる格闘家も何人か出てきたし、いろいろな技術も研究、研磨されて、当時とは比べものにならないほどに総合格闘技と呼ばれるもののレベルも上がった。また、イベントもどんどん大きく派手になって、見るものを楽しませるようになった。

けれども、どんどん総合格闘技というものが洗練され、ルールも整備されて競技化されていくに従って、ちょっと実戦と違いすぎるんじゃないかというところも見受けられるようになった。

そこで、一格闘技ファンとして、一格闘家(自称)として一つだけ物申させていただきたい。

総合格闘技とは言っても、実戦とは似て非なるものであることは分かっている。何時、何処で、誰と戦うのが分かっていて、ルールがあることからも、実戦とは違う。実戦は、それこそルールなしの何でもありで、相手が戦闘不能になるまで闘うが、そんな闘いを観戦しても残酷なだけで面白くない。

だからルールを設けて、観ている者に分かりやすく、選手の安全を図るのは、競技だから当然だと思うし、これからも競技をより面白くするためにもどんどん改善していくべきだと思う。

しかし、ラウンド制だけは、どうもいただけない。実戦にラウンドなんかあるか?3分経った、5分経ったからといって途中で闘いを止めるか?そんなことありえないだろう。最初のラウンドで、倒しそうなところまで攻め込んでおいて、次のラウンドで形勢逆転されて試合をひっくり返されたという試合もよく見てきている。また、途中で、インターバルがあると思うと、ペース配分を考えてしまうから、試合を長びかせる原因にもなる。

勿論、ラウンド制を導入したということは、選手や観客の集中力を途切れさせないとかの意味はあると思うが、総合格闘技とは、実戦に限りなく近いものであるべきとの私の考えからも、やはりラウンド制はやめてもらいたい。総合格闘技の魅力を半減させないためにも、最初の頃の「ル-ルのある喧嘩」というスタンスは崩して欲しくないと思うのだ。


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