真剣勝負
真剣勝負をしている夢を見た。素手で殴りあう喧嘩ではなくて、本物の真剣で斬り合う夢だ。相手は、突きを得意とする奴らしく、「始め」の合図もなしにいきなり突いてきた。私は、何故か短い脇差しか持っておらず、相手の突きを防ぐことができずに、右胸のレバーの辺りを刺された。
咄嗟に体を後ろに引いたので、刺し傷は浅かったが、相手が容赦なく突きかかってくるので、今までに感じたこともない恐怖を覚えた。
脚なんてガクガク震えていたが、「殺らなければ殺られる!」と思い、突きにきた相手の刀を素手で掴んで反撃に出た。完全にパニクっているので、刀は引かなければ切れないことを忘れて、刀で相手をバシバシ叩いていた。それでも、私の馬鹿力で叩いていたせいか、少しは切れているようだった。何十回か叩いたら、相手が倒れたが、恐怖のあまり、それでも叩き続けた。
相手を倒したことに気付いたところで、夢から覚めた。現実と区別がつかないほどの超リアルな夢だったから、起きた時は、混乱していた。これが夢だと気付くまでには、少し時間を要した。
真剣勝負が、夢であったと悟って安心したのだが、自分が助かるためとはいえ、相手を徹底的に叩きのめした行為に自分の本性を見たようで、自分が恐くなった。
いくら夢の中であっても、意識があって自分で考えて行動しているわけだから、やはり夢の中の凶暴な自分が、自分の本性の一部であるのではないかと思えてしまったのだ。
それにしても、真剣で斬り合う恐怖というのは、知らない相手との喧嘩や、格闘技の試合で戦う恐怖とは次元が違う。この恐怖に比べたら、それらの恐怖なんて可愛いものだと思った。だって、敗れたら死ぬんだから。夢だったからいいけど、実際にこんなことに遭遇したくないものである。
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