高橋 尚子【執筆者:アメリカ支部長 エテ】

元来、芸能人とかそういった有名人の類に縁もなく、またあまり興味を示さない自分であるが、9/4(日)になかなか寝付けなかったということもあって高橋尚子でも見に行ってみるかという気持ちになった。バージニアビーチのハーフマラソンに高橋尚子が出場することを耳にしていたからだ。私はバージニアビーチに在住で、ビーチまで高速で15分程度の距離であった。

約2万人規模のハーフマラソンということもあって、車でビーチまで出ると帰れなくなる可能性がありネットで交通手段を確認すると、どうやら家の近くより臨時バスが出ていることを知った。

取り合えずそこまで行けば後は何とかなるだろうと思いAM 4:40頃に家を出発した(女子マラソンスタート時間:AM 6:45)。

最近は大分アメリカに慣れたようである(物怖じしなくなった?)。出かけるのにあまり詳細な下調べをしなくなったし、電子辞書もほとんど携帯しなくなった。実際に話していると辞書なんか引いている暇なんてないのが現状だ。ここまでの境地に至る経緯は今後のアメリカ支部長便りで掲載したい。

さて、話を戻して臨時バスの乗り場に到着したがどうやらあまりにも早すぎた様であった。周りにいる殆どがマラソン参加者で私と家内のみ普段着だった。そのままバスに乗り込み揺られること約20分、スタート地点である最近改装されたバージニアビーチのコンベンションセンターに着いた。夜も明けぬうちから続々とランナーが集まってきて夜が明けるころは大勢のランナーで埋め尽くされた。本当に良い天気でり少し肌寒く、最高のマラソン日和だった。

そのコンベンションセンターの一角に招待選手用の控えテントを発見し、近づいてみると既に日本人報道者が目まぐるしく高橋選手の後ろを追っていた。前回はヤンキース3Aの野茂がノーフォークタイド戦(ノーフォークは隣町で家より20分程度)で投げるとの情報を得て、会社のみんなでハーバーパークスタジアムへ見にいった時ほど報道陣は多くなかったが、いつも日本人報道者のみがある一体を占拠して報道している。まあ、見に行っている我々が彼らに対して言える義理はないが・・・。

しかし、高橋選手を目の当たりにしての感想は「小さい/細い」であった。そんなんで本当に走れるのか?スタミナは大丈夫か?本当にオリンピックで金メダルが取れたのか?が最初の疑問だった。しかしその疑問はアップをしている彼女をみてあっさりと覆される。普通に走っていて速い。

アップのときに何かしらの声援を送ろうかと思いもしたが、私も一応は運動選手のはしくれであったので試合前の緊張感(特に復帰戦ということもあって)というものは知っているので声もかけず遠めでアップを見守った。定刻どおりAM 6:45にスタートして私たちの前を走り抜けたがあまりにも速く写真もろくに写せなかった。そして彼女の健闘を祈りながらスタート地点からビーチ沿いのゴール地点まで歩いていった。

約1時間近く歩いてゴール手前地点で待つこと数10分、1時間10分31秒のタイムで高橋尚子は4位にてゴールした。

ゴールした後に彼女をまじかでみようとゴール付近に歩み寄ってみたが、早速報道陣よりインタビューを受けていた。あれだけ走っていつもの笑顔でインタビューを受けれるのには驚いた。本当に走った後なのか?

昨年2月に私が参加したバージニアビーチのマラソン(たった5Kだが)にてゴールした時は笑顔と言うよりは苦痛にて誰にも見せたくはないような顔になっていて話せる状態ではなかった様な気がする。やはりプロは違う。

 

結果は4位となってしまったが、彼女のさわやかな笑顔の下には明らかに不屈の闘志また自分への叱咤を感じられた。時に人の表情はその人の裏側を表現する。

私も愛想良く笑う方であるが笑っているときほどその笑いの下に人には言えない悔しさ、闘志を隠しているときがあるし、また逆に極度に緊張する場面に出くわしたときに本気で笑うことができれば万事うまくいく。

人の笑顔から読み取るココロの内ほど良く分からないものはないと思う。

 

しかしながら、久しぶりに人がひたむきに努力して何かを求めている姿を見たような気がした。はっきりいって私自身マラソンを馬鹿にしていた様な気がする。昔からマラソンは遅い方ではなかったがスポーツとしてただ走っていて何が楽しいんだろうと言う疑問だけだった。こういったひたむきさを忘れていたような気がする。

来年は順位にはこだわらず、社内のアメリカ人の同僚と「達成感」を求めて参加することを決めた。(現在参加予定者:4名)

 

まあ、今思えば一時帰国での出雲Run(50K)が良いきっかけとなるかもしれない。


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