強敵

強敵がいる。どんなに私が筋トレに精を出しても叶わない強敵がいる。彼をどうにか倒してやろうと思い、今まではやらなかったことをやったり、筋トレをいろいろと工夫したりしているが、それでもその差は埋まらない。いや、進化のスピードは向こうの方が速い分、差はどんどん開くばかりである。

私も今までよりは、格段に強くなっているはず。しかし、実力の差は埋まらない。「何でや!」と思い、更にダンベルのバーベルの重さを回数を増やす、細部をとことん鍛えこむ。「これならいける!」と自信を持つ。彼に再び挑戦する。完膚なきまでに叩きのめされる。「一体、俺に何が足りんのやぁ!」と、考えこむ。「これをやったら良いのでは!」と、また新しいことを始める。「これならいける!」と、自信を持ってまた挑戦する。しかし、またまた完膚なきまでに叩きのめされる。「これだけやって何で?」と、今度は完全に自信喪失する。

そうやってリベンジからどんどん遠ざかり、一年以上の月日が経つ。彼に敗北してからも、実力の向上のため黙々とやることはやっていたが、内心「あいつには勝てっこねぇ!」と決めこんでいた。もう勝負する気にもなれなかった。だが、彼との縁は切れない。最近たまたま勝負する機会があったので、勝負したが、やはり相手にならなかった。相変わらずの強さに驚くばかりか、更にレベルアップした実力を目の当たりにして、親に置いてけぼりにされた子供が抱くような寂しさが全身を覆った。もう彼が雲の上の存在になって、手の届かないような気がしたからだ。

どうにかしなければならないと思った。今なら間に合う、いや、今やらなければ何時やる!最強を目指す者にとって彼はまず、越えなければならない相手なのだ。

久々に敗北したことで、再びリベンジしてやろうという気持ちが沸々と湧きあがった。それとともに、ここまで己を磨き上げた彼に尊敬の念も持った。ここまで己を磨き上げることは、並大抵のことではないからだ。

はっきり言って、今勝負しても全く勝てる気がしない。だが、どうにかして追い付き追い越してやろうという気持ちは過去にないくらい強い。彼のおかげで、私はもっともっと強くなれる。次会う時は、言わしたる!

 


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