旅を終えて

足掛け3年に及ぶ、私達の長い旅も今回の高野山御礼参りをもって締め括られた。休憩を含めて20時間の長いドライブを終えて無事に萩まで辿り着いた時に私の胸に去来したものは、旅を終えた達成感ではなく、良き縁に恵まれたという感謝の気持ちであった。

もともと、離れた地で何も接点がなく、見ず知らずの存在であった私達が、一緒に高野山へ行き、一緒に酒を飲むなんて何とも素敵なことであるし、そのことを考える度に「縁とは不思議なものだ。」と考えてしまう。が、これが偶然ではなく、必然であることは以前にも私が述べたとおりである。同じ志をもつ私達は、最高のタイミングで出会うことができたのである。

四国八十八ヶ所巡りを終えて私達が得たもの、それは感謝の気持ちと、人との縁なのではないかと、高野山奥の院の大師霊廟前で、最後の納経を終えた後にテルさんの顔を見て、改めてそう確信した。

麓の慈尊院から高野山大門まで続く20㎞もの遍路道である高野町石道の途中にある丹生都比売神社には、「神社の祭神である狩場明神が、猟をしていた時につれていた白と黒の二匹の犬に案内されて、弘法大師は高野山に登った。」という伝説がある。詳しくは遍路レポートで書かせてもらうが、麓の慈尊院には高野山への案内犬ゴン(平成4年まで道案内をしていた。)がいて、白い犬であるゴンは、狩場明神の白い犬とも、弘法大師のお母さんの生まれ変わりではないかとも言われていた。

とすると、私達を先導して高野山まで辿り着かせてくれたテルさんは、よく日に焼けて色が黒いからして、弘法大師を先導した狩場明神の黒い犬のように思えた。そして、高野山までサポートしていただいた奥様のノブちゃんと、妹さんのトモちゃんは、狩場明神の白い犬やゴンに対応するのかなと。

これは、勝手に私が解釈したことであるが、これ以上ないと言えるほどの施しをいただいたおかげで、私達は楽しく、無事に高野山まで辿り着くことができたことからも、テルさん達の姿は、伝説とダブって神の御使いではないかと思えたのだ。

言葉では言い尽くせない感謝。たくさんの思い出とともに私達の最後の旅を最高のものにしていただいた根性屋の皆様及び、それを支える友人や家族の皆様方には、いくら感謝してもし足りるものではない。また、いつか何らかの形で私達が受けた恩の幾らかでもお返しをさせていただけたらと思っている。

旅の余韻に浸って、少々寂しい思いをしている現在の私ではあるが、私の頭の中は、もう次の根性屋の皆様との再会のことを考えている。そう、私達の関係は始まったばかり。この関係はこの先もずっと続くのだ。


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