ブワリヤ

1ヶ月前からブワリヤが筋トレ及びアームレスリングの練習に私の実家に来るようになった。ブワリヤはアフリカのザンビアという国の出身で26歳。元ヘビー級のボクサーである。

彼とは、私が助っ人として呼ばれた筏レースで同じチームになったことがきっかけで知り合った。身長189cm、体重105㎏の恵まれた体格に私は一目惚れし、すぐに「一緒にアームレスリングをしないか?」と、かたことの英語で話しかけた。

幸いなことにブワリヤも何か運動をしたいと思っていたらしく、一発返事でOKをしてくれた。そして、その翌週からブワリヤとの交流が始まった。最初は、アームレスリングがどういうものか分からなかったらしく、ゴー!の掛け声でも力を入れないとか、相手の手をパットに付ける前に力を抜いたりしていた。その度に、知っている単語と、身振り手振りを交えながら指導していき、今現在ではどうにか普通にアームレスリングができるぐらいにはなっている。

また、この男の身体能力というものは桁違いである。いきなりベンチアームカールを50㎏で10回もこなすし、ベンチプレスも100㎏を楽に上げてしまう。これで、筋トレは初めてやったというのだから驚きである。私が中学2年生の時にベンチプレスを初めてやった時は50㎏しか上がらなかったのにだ。

これはもう、ナチュラルパワーが違うとしか言いようがない。これで、これから筋トレを続けていったら、アームレスリングを続けていったらどれだけ強くなるのだろうか?烏田と同様に頼もしい人材である。

しかし、そのいかつい体と、優れた身体能力に反して、この男はかなり気が小さいというか、自分に自信を持っていない。「この調子なら2年後にはベンチプレスで200㎏が上がるぞ!」とか、「練習を続けていけばチャンピオンになれるぞ!」と言っても、「私には無理!」と言い張るのだ。

私はその言葉が嫌いだから、その言葉を聞いた時は、ここぞとばかりに根性論を叩きこんでやろうと思うのだが、残念ながら私は自分の言わんとすることを英語で伝えることが出来ない。そんな時は、ブワリヤの知っている日本語である「大丈夫」「出来る」を連発して、どうにか理解してもらおうとしているが、果たして彼が理解しているかどうかは分からない。

ブワリヤの日本語力と私の英語力は同じレベルである。お互いに、自分の言いたいことの全てを相手に伝えることはできないが、会うたびにお互いのことが、言いたいことが分かり合えるようになってはいる。だが、会話をするにはまだまだなので、自分の言いたいことを伝えるためにも、これを機に英語を勉強しなおそうと思う。

 


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