愛車

愛車のスターレットが我が家に来たのは、8年前のこと。当時で3年落ちだったものを、ぽん太郎さんの親からもらいうけたのだ。当時、私はカリーナEDに乗っており、クルマは必要なかったので、スターレットは大学を卒業して実家に戻ってきたばかりの末弟の衛が乗ることになった。そして、それから2年半後に、衛が新車を買ったため、カリーナEDを廃車にしてスターレットに乗り替えた。

うちのスターレットはグレードの低いやつらしく、パワーウインドーではなくて今時珍しい手動式だったし、しかもオートマではなくミッションだった。しかし、ボディーが小柄のわりには、室内も広かったし、1300ccという低排気量でも走りは良かった。おまけにミッションなので、加速を引っ張れるから面白かったし、そして何よりも燃費が良かった。

このクルマでは、たくさん遠出したし、思い出もたくさん作った。故障もなく頑張ってくれたが、1年ちょっと前に今乗っているクルマを買ったので、お役目御免となった。それからは、たまにうちの両親が乗る以外は、殆ど乗ることはなくなった。だいたい1ヵ月に1回乗るか乗らないかぐらいだった。とりあえずは、車検が切れるギリギリまでは所有しておくつもりだった。

車検が切れるのが、今月末。3ヶ月前ぐらいから、私はスターレットを廃車にしようかすまいか悩んでいた。まだバリバリに走るものを廃車にするのはどうかという考えと、維持費もかかるので、滅多に乗らないものをいつまでも手元に置いておくわけにはいかないという考えの狭間で、私の決断は揺れ動いていたのだ。

結局、決断したのが年末のこと。何かの時のにもう1台クルマがあったほうが便利だということで、今回に限り、安く済むユーザー車検を受けてスターレットを残すことにしたのである。だが、それは、このクルマにはもう金をかけたくないという思いから、もし、どこか悪い箇所があって車検に通らなかったら、修理することなく即廃車にするという条件下でのことだ。

この決断のもと、年明け早々、有休を取って陸運局へ行った。以前にもユーザー車検は行ったことがあったので、大丈夫だろうという思いで臨んだのだが、結果は不良整備車ということで車検には通らなかった。右側テールランプのカバーの破損が原因だった。他の箇所はOKだったので、テールランプのカバーさえ取り替えて、もう一度検査官に見せれば車検は通るとのことだった。テールランプなんて全部取り替えても安いものだが、事前に決めた条件により、スターレットは廃車になることに決まってしまった。

廃車になることは残念だったが、悩みに悩んだ末の決断だったので、「もう縁が無かったのだな。」と、素直に自分の下した決断に従うことができた。

スターレットは、丁度一週間前にスクラップ業者に引き渡す為に、義弟の兼吾によって引き取られた。我が家から去って行く姿を見送る心境は、買い取られた子牛を見送る心境と同じだったということは言うまでもあるまい。

人との縁と同じく、モノとも縁がある。カリーナEDも良いクルマだったが、スターレットはそれにも勝って良いクルマだった。本当に良いクルマに巡り会えたものだと思う。世話になったスターレットには、心より有難うと言いたい。

スターレットは、解体されるのだから、次のオーナーの手に渡ることはないが、その部品やリサイクルできる部分が他の誰かのために役立ってくれたらと思う。こいつもそれが、本望ではないだろうか。


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