心地良い場所
嫁と広島まで、ある歌手のコンサートに行ってきた。広島での、この歌手のコンサートは8年ぶり。最後にこの歌手のコンサートに行ったのは、5年前のこと。
行ったのは、ついこの前と思っていたのに、”5年、8年”と数字にして並べると、時が経つ早さを感じずにはいられない。
で、肝心のコンサートである。
実は始まってから30分ぐらいは、違和感を感じていた。
バッキングのギターとベースが重低音を強調し過ぎで、音量が必要以上に大きいということもあり、その音の壁に飲まれまいと、歌手がやたらとシャウトしまくっていたのが、その原因である。
まるでハードロックバンドになってしまったかのような印象を受けた。
正直、”変わったな”と思った。
ところがである。30分を過ぎたあたりから、おそらく場に慣れてきたのと、以前と変わらない派手な演出をやりだしたのが影響しているのだろう。5年ぶりに自分の家に帰ったような、そんな懐かしさを感じ出したのである。
誰だって、5年ぶりに家に帰ったら、最初は自分が想い描いていたのと、また5年前の当時と比べて違和感を感じるだろう。そして、しばらく時間が経つと、これは”自分の家なのだ”と、違和感を感じなくなるはず。だって少しは変わりはしても、元は変わりはしないのだから。
私が感じたのは、正にそのような感覚。何度となく身を置いたこの空間は、既に自分の家のような居心地の良い、懐かしさを感じる場所になっていた。
それから最後までは、この5年間、いや8年間の思い出と重ね合わせながら曲を聴いていた。
私は生粋の洋物ハードロッカーである。故に思い入れはあれど、この歌手のファンではないし、自ら進んで、この歌手のコンサートに行くこともない。
だが、この歌手のコンサートの空間は、実に心地良い。今後も嫁に誘われることがあれば、喜んでついていくことだろう。
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