お徳用
妻にニンニクを買って帰れと命令されたので、そのついでに妻の誕生日プレゼントとして、特売の198円のお徳用カステラを買って帰った。
「喜べ!誕生日プレゼントやぞ!」と言って、妻に渡した時の反応は私の予想と違うものだった。
喜んでくれるかと思いきや、「何これ!私はエルメスのバックかダイヤの指輪が良かったのに!」と、キツい一撃。
更にカステラのパッケージを見て、「この“お徳用”とはどういうことなんよ!買ってくるなら文明堂かフクサ屋のカステラを買ってきいや!」と、痛恨の一撃。
それを聞いて私は、「おい、俺の給料と小遣い知っとるやろ?それでどうやってエルメスのカバンを買うん?」
「俺、財布の中に小銭しか入ってないんど!それでどうやって文明堂のカステラ買うん?それに萩みたいな田舎に文明堂のカステラなんか売ってないやろ?お前が気にいらんのなら俺が食うから食わんでええど!」と、反撃。
それからは、せっかくの誕生日にも関わらず言い合いに。
だが、私が言い負けて、いつか金が貯まった時にお望みのものを買ってやることに。
で、妻に邪険にされた可哀想なお徳用カステラだが、妻は、「これはカステラじゃなくてスポンジケーキだ!」とか、「味が薄っぺらい!」とか散々文句を言いいながらも、皿に盛った分を完食していた。
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