ミジンコ

旧田万川町まで、マウンテンバイクでツーリングした帰りに阿武町の道の駅に寄った時のことである。

冷たいものを食いたかった私は、「アイスを食わないか?」と、アホの末に尋ねた。

「俺、さっきアイス食ったし、減量中やからやめとくわ。」と、アホの末。

「アイスぐらい大したことない!」

「激しい運動しとるから大丈夫いや!」

「熱中症の予防にもなるど!」と、しつこく言ってもアホの末はなかなか首を縦に振らない。

そういえば、この日を振り返ってみると、確かに昼飯の時も、ごはんのおかわりが自由に出来るにもかかわらず、おかわりをしなかったし、途中でジュースを飲むこともしなかった。

これは結構マジで減量に取り組んでいるのかもしれないと思った。

しかし、マジだと思うと、試してみたくなるもの。

ダメもとで、「俺が奢ってやると言ったら食うのか?」と、言ってみた。

「うん。食う!」と、アホの末。

予想だにしない、こっちが拍子抜けするほどの素直な返事。

結局、私の奢りで仲良くアイスを食うことになった。

せっかく、こいつにしては珍しく、強い意志をもって取り組んでると思い、感心していたのに、”やはり”というか、情けないというか。

こいつの決心なんて、少しのことで崩れる。

すごくちっぽけなもの。

まるで、ミジンコである。


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