立ち姿
何かの本の中で、今から約130年ほど前の車夫(人力車の人夫)の写真が載っていたのを見た。
いかに毎日、仕事の中で下半身が鍛え上げられているかがよく分かる筋肉が大きく盛り上がったふくらはぎと太腿。
間違いなく脂肪率は5%もないであろうほど引き締まっているゴツゴツした腹と胸。
全体的に見て、骨太でゴツいのだが、そのゴツさはボディービルダーのものや、私のような筋トレ好きの作られたものとは違う。生活の中で、仕事の中で鍛え上げられたナチュラルなゴツさだった。
格好良いと思った。
周りにゴツい人は数多くおれど、ナチュラルにゴツい人を見たことがないから、私の目にはすごく新鮮に映った。
しかし、それよりも印象に残ったのが、車夫達の立ち姿だった。
全員が地にしっかりと地に足をつけて立っているのである。
私の立ち姿と比べれば、その差は一目瞭然なのだが、私は自分の足で立つには立っていても、そこにポンと置かれたような感じなのに対して、車夫達はしっかりと自分の足で大地を踏みしめて立っているのだ。
その立ち姿は逞しく、強烈な存在感を見る者に与える。
その立ち姿の格好良さには、感動さえ覚える。
本には、「この頃の人は、体の重心を臍下丹田に云々。・・・。」などと書いているけど、この格好良さの理由は身体的なものだけではない。
人間としての逞しさが関係しているのではないかと思う
と、なれば残念ながら私は甘ちゃんということになるが、それは認めざるを得ない。
だって、私は重い人力車を引いて毎日何十㎞も走れないから。
あの頃の人のように辛抱強くないから。
悔しいけど、あの立ち姿には惚れる。
マジ格好ええ。
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