攻防

この時期、私と塾生達との間で、ある攻防が繰り広げられる。

私がしつこいぐらいに寒中水泳に参加要請をすることに対し、塾生達はそれをどうにかかわそうと、必死に抵抗するのである。

例えば、兄貴。

先月末より、私が毎日、心を込めたメールを送っているにも関わらず、返事のメールさえ返さない。

これが、お世話になった先輩にすることだろうか?これは、正しく恩を仇で返す行為である。絶対に許すことは出来ない。よって、当日、自宅までお迎えにあがる。

次に変体小野。

私と出会った時から、こいつが死ぬまでの1月3日は寒中水泳のために押さえているのだが、この日は旅行に行くという。

いくら、昨年からこのことは決まっていたと言い訳しても、私と出会った以後に決めたことは全て後付けである。つまり後付けサクサクに他ならない。

断じて許されることではない。よって、当日、自宅までお迎えにあがる。

最後にまつ。

いくら3年のブランクがあって、気持ちも体もなまっているとはいえ、こいつは記念すべき第一回から参加している数少ない男だ。

「すいません。」「今回は勘弁してください。」と言われても、私にはそんな甘えた言葉は聞こえないし、聞きたくもない。

お前はいつからそんなにヤワな男になったんだ?お前はいつから、そんな面白味のない男になったんだ?お前は、”おもしろくなき世をおもしろく”しなきゃならんのだろう?

やはり許すことは出来ない。お迎え予定時刻を教えておいたのが、せめてもの情け。というか私の親心。他の2人と同じく、お迎えにあがる。

いくら抵抗しても、結局は参加することになるのに。抵抗するだけ時間とカロリーが無駄なだけなのに。

何でこうも必死に抵抗するかね。

愚かな奴ら。

 

 

 


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