来訪者2

「名刺を作ったから、今からそれを持っていくから。」

と、チャックから電話が入った。

“名刺?何の名刺やろう?まぁ、名刺ぐらいもらってやるか。”

そう思い、チャックが来るのを待った。

それからすぐにチャックは来た。

「総合格闘技の道場の名刺を作ったから。」090209_2108

と、言って私に差し出したのは、真っ白な名刺の台紙であった。

いや、真っ白と言ったら語弊があるかもしれない。一応、日の丸と朝日の2種類の模様が入った、他には名前も肩書きも何も印刷してない台紙である。

それを受け取った私は、予想だにしてなかったことに名刺の台紙の色と同じく頭の中が真っ白になった。

開いた口が塞がらないとは、この事。

チャックは、「会社に行って偉い人と会うには、名刺が無いと信用されんからね。」と、更に続ける。

それを聞いた私は、「どこに白紙の名刺を差し出すアホがおるんや。そんなことすると、余計に信用されんぞ!いや、それどころか変な奴と思われて追い返されるぞ!」と言ってやった。

「いや、だからぁ、相手に渡す時に自分で書くんよ。」と、チャック。

「お前アホか!名刺を渡す時に、中身を自分で書いてどうするんや。常識外れなこと言うのもええ頃にせんとのぉ。そんなことする奴なんておらんぞ!最初から印刷しとかんかい!」と、私。

更に「名刺なんて誰でもどのようにでも作れるし、これがあるからとて、信用される訳ではないけどやな。お前が、信用されたいと思うなら、最初の一歩として、まずまともなものを作れや。」と、とどめを差した。

こいつは、フザけているのではなく、大真面目にこういうことを言っている。

あまりの馬鹿さ加減に、情けなさを通り越して、常識的なことを何も分かってないこいつが可哀想になってくる。

チャックよ!お前大丈夫か?


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