手洗い

「早く帰ってポテトサラダを作らなきゃ!」と、山猿が言った。

「お前がポテトサラダを作る?その顔で?」と、私は返した。

最近、一人暮らしをするようになった山猿。

ゴツくて怖い顔に似合わず、食費を節約して金を貯めるために毎日せっせと自炊をしているらしい。

見かけによらず、結構マメな山猿。

料理のレパートリーも多く、味にも自信があると豪語している。

若いのに、なかなか感心。

独身と既婚との違いはあるが、私と境遇が似ているので、こいつのやっていることには共感も覚える。

このマメさは褒めてやってもいいだろう。

だが、褒めてばかりもいられない。

例え、料理が上手であろうと、こいつの作ったものは食いたくない。特に素手で握るおにぎりなんて絶対に嫌である。

何故なら、こいつが便所で手を洗ったところを見たことがないからだ。

手洗いは、調理をするに際しての基本中の基本。汚れで大雑把な山猿は、その基本的なことが出来てない。

山猿よ!用を済ませたら手を洗え!

最近はニホンザルでも、芋を洗う時に、ついでに手を洗うぞ!


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