許されざる行為
永遠に住み慣れた故郷を離れなければならなくなったとしたら、その者の心中はどうだろう?
何十年も住み慣れた故郷であれば。
親しい友人や知人がいる故郷であれば。
思い出がたくさんある故郷であれば。
新しい場所へ行けば、新たな出会いや新たな経験があるのかもしれないが。
もしかすると死ぬまで喪失感の方が大きいことだってある。
私達の体は、故郷の空気や水や食べ物で作られ、そして私達の心は、故郷の自然や人々によって育てられた。
いわば故郷の人々は家族であり、故郷とは親である。
故郷と引き離されるということは、甘え盛りの子供が親と引き離されるようなものである。
しかも永遠にだ。
誰だって、その者の心中を容易に察することはできるだろう。
第二の故郷を作ることはできる。
しかし、生まれ故郷を作ることはできない。
それを奪うということが、どれほどのことか。
原因者には、よく考えてもらいたい。
金で補償できることではない。
自分のことと思うと、絶対に許すことはできない。
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