漢塾チャレンジ(綱引き)

カテゴリ
 ANOTHER
開催日
2017年06月17日() ~ 2017年06月17日()

萩市の隣町である阿武町のフクシマさんから突然の電話をいただいたのが、今年の2月のことだった。フクシマさんは、全く知らない人だった。漢塾のことを行きつけの理容院で聞いて知ったと言う。

フクシマさんは、阿武町で綱引きのチームに入られていると言う。低知能の体力自慢ばかりが集う漢塾に興味を示されたのか、5月頃に自分のチームと漢塾で綱引きの試合をやろうと言う。

「えっ!?」と思った。綱引きは、運動会でしかやったことがなく、私にとっては未知の競技だったからだ。綱引きの試合をテレビで見たことがあるが、その時はオバサンのチームが、自分達より遥かに体が大きい相手であるプロレスラーのチームを簡単に負かしていた。

綱引きが、綱を引くだけのシンプルな競技とはいえ、パワーや体重にのみ頼るものでない奥深いものであるということは、その結果が示していた。

そして、綱引きという競技で勝つには、綱を引く姿勢や全員のまとまり、持久力といったものが重要な要素になると、その時は何となく思った。

このような、プロと素人との実力の差が著しく、しかも8人という大人数で行う競技へのお誘いには、最初は抵抗を感じた。

タイマンでやるなら“まとまり”というものが不必要な分、“もしかしたら勝てるかも?”という希望が生まれるが、人数が多くなればなるほど“まとまり”からは遠く離れてしまうので、勝率の分母が宇宙開闢の時に遡るほどの単位になるぐらいに低くなってしまう。

“やるからには勝ちたい!”そう思うのは至極当然のこと。しかしながら、漢塾には“おもしろくなき世をおもしろく”というモットーがある。この言葉に込めた思いの詳細は省くが、要はおもしろく生きたいということだ。

おもしろく生きるには、チャレンジが必要だ。今まで自分のやってきたことや得意なことばかりして生きるのでは、おもしろく生きることは出来ない。

そのような生き方もあるが、私はそれを望まない。世の中には自分の知らないことが、体験してないことがたくさんある。それらを少しでも多く知ることが出来れば、体験することが出来れば、こんな幸せなことはないだろう。

そういえば、ここ数年の漢塾は、同じことを繰り返していた。新たなチャレンジが無かった。同じことを繰り返し続けることにも労力は伴い、それはそれで良いことなのかもしれないが、そこには世界の広がりがなかった。

電話の途中で、そのことに気付いた私は、フクシマさんのお誘いを受けることにした。

漢塾の世界を広げる、私の経験値を増やす絶好の機会である。その時、私にはフクシマさんが神の使いのように思えた。まだお会いしたこのないフクシマさんがだ。

“求めれば与えられる”という。

確かに私は、チャレンジの機会を求めていた。そして、その機会が与えられた。

今回の天から与えられた綱引きへのチャレンジには漢塾の精鋭8人が臨んだ。綱引きへのチャレンジは、当初予定していた5月ではなく6月になった。

以下、私達の奮闘をお届けする。

開催状況
 
(漢塾八勇士)
正式には綱引きは8人で行うということで、の力自慢・体重自慢を集めた。

写真左上の左から2番目の漢塾イベント初参加のボウである。まだ筋トレを始めたばかりの25歳の若造であり、その筋力も実力も大したことないが、強さへの憧れは人一倍強いものを持っている。

石の上にも3年という。これから最低でも3年ほど向上心を持って筋トレを続ければ、心身共に今とは見違えるようになるだろう。

可能性は無限である。やればやるほど強くなる。

 
(前哨戦)
綱引き会場である阿武町立体育館にて。待ち合わせ時間より少し早く着いてしまったので、フクシマさんを待つ間に蚊と格闘することに。

ここの蚊は、久々の獲物ということもあり、すぐに漢塾八勇士に群がってきた。何匹かは撃退したが、撃退する数よりも血を吸う数の方が遥かに多かった。

蚊にとっては、高脂肪・高カロリーの血を吸うことが出来てご満悦のことだったろう。

蚊との前哨戦が本戦に影響したかどうかは、神のみぞ知るところである。

 
(準備)
決戦のための準備をフクシマさんをはじめとするチームの方々に行ってもらう。

綱引きの綱を目にするのは、娘の幼稚園の運動会以来、2年ぶりのことだった。勿論、普段は目にすることも手にすることもない。

30m以上はあるだろうか。体育館の幅では、全部伸ばし切ることは出来ない程の長さだ。

値段も一本が数十万ぐらいはするものらしい。阿武町は、町民運動会で綱引きを行うらしく、そのため綱は、阿武町が購入したとのこと。なかなか初期投資費用がかかるスポーツである。行政や企業が綱を購入してくれるならともかく、何人かのチームで購入するのは無理がある。そのことが、綱引きをメジャーなスポーツから遠ざけているのかも。

 
(個人指導)
阿武町のチームの方々から綱の引き方の個人指導を行っていただく。

主に手で綱を引っ張るものだと思っていた私達にとって、そのやり方は驚愕のものだった。手は、体を綱に預けるために“添える”“摑まる”ものといったイメージのものであった。勿論、ある程度の手力は要るが、手引きになってはいけない。綱にぶら下がるといった感じで後ろに体重を預けるのだ。この時、膝を真っ直ぐにして、背中を床に近づけるぐらいに体を倒さなければならない。膝をまっすぐにし、体を倒すことで、後ろにダイレクトに体重を預け、しかも相手に引っ張られにくくなるのだ。

 
(良い見本)
阿武町のチームの方々の引っ張るフォーム全員の膝がピーンと伸びていて、しかも体が真っ直ぐに伸びている。その姿は、まるで床に斜めに楔を打っているかのよう。

このフォームなら、体重を後ろにかなりの割合で預けられる。ちなみに、本番の時は、体の傾きが更に大きかった。足の裏がペッタリと床に張り付いているのも床との摩擦を大きくし、相手に引っ張られにくくする要因となっている。

 
(悪い見本)
対戦してから最初の頃なので、まだ良い方だが、私達の膝は曲がっている。このような形になると、後ろに体重を預ける割合が減り、どうしても手力に頼るようになる。しかも、相手の引っ張るプレッシャーに耐えにくくなるというおまけも付いてくる。

更に、無駄な力を使うようになるので、疲れやすくもなる。

マイナスな点は多々あれど、良いことは一つもない。

 
(スタート)
最初の対戦は、3対3で始まった。最初からほぼ全力の力を込めた状態で行われる。よって、綱はピーンと張っている。

スタートしても最初の頃は引っ張る力が拮抗しているので、綱が動くことはない。「ヨイショッ!ヨイショッ!」引っ張り合うのではなく、どちらかが根負けして崩れるのを待つといった感じだ。

20~30秒ほど耐えられて、「これはいけるかも!」と思ったが、根負けしてズルズル引っ張られたのは私達であった。

阿武町のチームの方々は、全力を出すことなく手加減してくれていたのかもしれない。実力の違いを感じたため、この初戦以降、4対6、5対7、6対8、6対7というようにハンディマッチを行うこととなった。

 
(一生懸命)
懸命に綱を引っ張る漢塾八勇士。頑張っているのは認めるが、フォームは悪い、引っ張る綱が真っ直ぐになってない、まとまりが無いなどマイナスづくめである。

おまけに先頭のマッチョを除いては、2~3本対戦しただけでかなり体力を消耗していた。

皆、体力はある方だと思うが、無駄な動きが多すぎた。

 
(無駄な努力)
一番手前のマッチョのフォームは、どうにか見れないこともないが、私をはじめとする塾生達のフォームは見れたものではない。

もはや、綱引きという競技をやってない。単に力任せに綱を引っ張っているだけである。こうなると、どんなに一生懸命やろうと、それは無駄な努力である。

無駄にカロリーを消費するだけの作業である。

 
(作戦会議)
負けっぱなしで、「このままではいかん!」と思い、急遽、作戦会議を行うことに。

実力差が大きく、今さらフォーム等を修正しようもないことから、とにかく最初のスタートの瞬間に全力を出すことにした。

この作戦会議の甲斐あって、2人のハンデをもらった状態ではあるが、どうにか2矢だけ報いることが出来た。

ハンデをもらっても勝てば嬉しいものだったが、この2矢のために残り少ない体力の殆どを使い切ってしまった。

 
(立ち振る舞い)
立ち振る舞いが見事な阿武町のチームの方々。

その表情、姿勢などから漂わす雰囲気は並みのものではない。私達のような素人とは違った厳しい雰囲気を漂わしている。

綱引きの競技者としての自負がそうさせるのだろう。

このことからしても、私達との対戦に真面目に取り組んでいただいていることが分る。

ありがたいことである。

 
(絶倫フォーム)
前の3人は、殆ど床に背中が着きそうなくらい、体を倒している。後ろの3人は、角度が前の3人よりも大きいが、それでも私達よりは倒れている。全員が同じ角度で倒れてしまうと、床に尻餅をついてしまう可能性が高くなるので、バランスをとっているようにも見える。

このフォームを出来るようになるまで、どれほどの修練を積まれたのか?実際に教えてもらって、実際にやってみて、実際に出来なかったから良く分る。

このフォームは、簡単に出来やしない。手の力、足腰、背筋力、腹筋、体幹のバランス等、それらのものが一つにまとまらなければ決して出来ない。

このフォームが出来るようにならなければ、何回対戦しても勝つことは出来ないだろう。

いやはや、見事である。素晴らしい。

 
(最後に)
相手側にかなりのプレッシャーをかけられているから仕方ないのだが、全員がフォームが無茶苦茶でバラバラの動きをしている。

もう綱引きの体を成してない。特に酷いのが、引っ張る綱がグネグネと畝って、真っ直ぐになってないことである。これでは、地球が終わるまで対戦しても勝つことは出来ないであろう。

もしかしたら、「パワーで勝つことが出来るかもしれない。」と、淡い期待を持って臨んだ阿武町のチームとの対戦であったが、その期待は、木端微塵に砕かれた。

いやはや、完敗である。

 
(祈念撮影)
阿武町のチームの皆さんが全国大会に出場することと、次の再会を祈念して。

綱引きの奥深さと面白さを実感した対戦であった。綱引きは、行政や地域・企業などのフォローがあれば、もっとメジャーになる要素をもったスポーツである。綱引きの面白さが、特定の者にしか知られてないのは、勿体ないと思う。

漢塾の皆が、今回の対戦のショックから立ち直れた頃に再戦をお願いしたい。それと、腕相撲でも。

 


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