第八回 漢塾イカ釣り大会
- カテゴリ
- FISHING
- 開催日
- 2008年11月22日(土)
はじめに
昨年の秋の部の開催と同じく、イカ釣りシーズンである9月中旬~10月下旬を外しての開催となった今回。 私事で、どうしてもシーズン中での開催が無理だったわけだが、私にはシーズンを外れても”誰かが釣ってくれるであろう。”という確信があった。何故なら、これまでに行ったどの大会でも、誰かが必ず獲物であるイカを釣り上げていたからである。
どんな不利な状況であろうと、どんな絶望的な状況であろうと、絶対に大会が成立してしまうのだ。 ある種の神懸かり的なものさえ感じさせてくれるもの。それが、漢塾イカ釣り大会である。
改善
今回は、漢塾に臨時収入があったということで、これまでよりも景品を豪華にした。また、昨年と同じく、寒い時期での開催ということで、体を温めるためにカップラーメンを晩飯のメニューに加えた。それを可能にしたのが、家から持参したカセットコンロである。何故、もっと早くこれを思いつかなかったのかとも思うのだが、ここへきてようやく思いつけただけでもマシだと思うことにした。
そして、これまでは個別に分けることなく、大きい袋にドンッ!と皆の晩飯を入れて、好きなように食わせていたのだが、それをやめて、小さい袋に個別に分けるて、各自に渡すことにした。こうすることで、晩飯が置いてある大会本部まで来る手間がはぶけるし、自分の分を他人に取られるおそれもなくなるのだ。
いつも同じことは繰り返さない。改善すべきことはし、思いついたことはどんどん取り入れていき、回を重ねる度に進化していくもの。それが漢塾イカ釣り大会である。
試合開始
買出しで30分ほど集合時刻に遅れた私と物体Nが現地に着くと、キングを除く水道ファイブの面々とヤタと百万㌦の山陽小野田支部の面々、それに今回から新たに漢塾に加わった下松支部の面々が既に到着して既に竿を振っていた。
今大会の参加者は、過去最多タイの10人。キングは、少し遅れるということだったので、キングを待つことなく、今年最後の漢塾イカ釣り大会を開始した。
大仕事
試合開始となっても、私と物体Nは竿を振ることはしなかった。私達には、10人分のカップラーメンを作るという大仕事があったからである。まずは鍋に水を入れて、カセットコンロにかける。湯を沸かしている間に、カップラーメンの包装ラップを取ったり、具やスープの素を入れたりして、いつでもお湯を入れられる状態にしておく。
その際思ったのが、具やスープの素をいちいち袋から出して容器に入れるのが面倒臭いので、全部をそのような手間の要らないカップヌードルにすれば良かったということである。これは、次回の課題となった。
準備が終わったところで、すぐに湯を注ぎたいところであったが、カセットコンロの火力が弱く、また大量の湯を沸かしているがために、なかなか湯が沸くことはなかった。湯が沸いて、ようやくカップラーメンに湯が注げたのは、準備をし終えてから20分後のことであった。
反響
お湯の注がれたカップラーメンを皆に振舞う。日が完全に落ち、寒くなってきているということもあって、この新メニューは皆に喜ばれた。特に”ますたぁ”は、現役バリバリのメタボのため、家では嫁さんにカップラーメンの汁を飲ませてもらえないということもあり、汁を飲めることを事の他喜んでいた。”こんなことで喜ぶなんて健気な奴。
しかし、汁を全部飲むとはすげえな。”と関心していたのだが、私以外の全員は、汁を全部飲んだようだった。汁を飲まない私の方が珍しいのかな?ともあれ、カップラーメンという新メニューは、皆の心も体も温めたようだった。
経過観察
晩飯の給仕役という大役を終えた私の次の仕事は、皆の釣果を見守るということであった。やはりというか、始めてからしばらく経過しても、誰にも何も釣れる気配はなかった。しばらくは、参加者各々のところを転々として、様子をうかがうことが続いた。
そんな沈黙を破ったのが、下松支部の飯間と鎌田の釣り初体験コンビであった。飯間と鎌田が釣ったのは、体長10㎝くらいのアジ子であった。この2人、イカ釣り用に購入した餌木が使い物にならない代物だったため、初心者でも釣れるアジ子釣りにチェンジしていたのだ。初めて獲物を釣った2人の喜びようは凄まじかった。それを見ていると、こちらまで嬉しくなった。
これで、誰もイカを釣ることが出来なかった場合、この2人が優勝する可能性も出てきたわけだが、すぐにそれを打ち消す事件が起きた。何と!あのタコ釣り名人の”ますたぁ”が、本命であるアオリイカを釣り上げてしまったのだ。しかも、同長20㎝というなかなかの良型である。
これまでに、タコや甲イカしか釣ったことがなく、大会に参加しても食うことと文句を言うことしか能の無い”ますたぁ”がである。このことには、皆が驚いた。この私も驚いたのだが、タコ釣り名人の”ますたぁ”がアオリイカを釣ったことを断じて認めるわけにはイカなかった。
よって、”ますたぁ”が釣ったのは、アオリイカではなく、あれはあくまでイカの形をしたアオリタコということにし、急遽、”イカ釣り大会”も”アジ子釣り大会”と名前を変更して、”ますたぁ”の釣果を闇に葬り去ることにした。
タコ釣り名人の”ますたぁ”が釣るのは、何が何でもタコでなければならない。少し心苦しかったが、大会を盛り上げるには、タコマスターという”ますたぁ”の称号を守るには、こうするしかなかったのである。
やる気
“ますたぁ”が、アオリタコを釣ったことはいただけなかったが、”アオリタコ”を釣ったという事実は、”何も釣れない”とタカを括っていた皆の気持ちに火を点けたようだった。それが証拠に、皆の竿を振る回数は明らかに増えていた。
皆の釣果を見守ることに徹し、自分の竿をセットしなかった私も、それに影響されたためか、”ますたぁ”から竿を借りて30分だけ振り続けたのだった。
寒さ
“ますたぁ”が釣ったのは、まぐれかそれとも釣ったのではなく、引っ掛けたからなのか。それからは私をはじめとして、誰も何も釣ることはなかった。ただ時間だけが虚しく過ぎて行く。皆の竿を振る回数も少なくなり、竿を置いて歓談する者さえ出てくる始末であった。
その原因として、釣れないことの他に寒さという一番の難敵の存在があった。大会会場に到着したばかりの時は、それほどの寒さではなかったのだが、午後7時を過ぎ、午後8時を過ぎ、時間を経過するごとにどんどん寒くなっていったのである。午後9時を過ぎた頃には、竿を振る手は風の冷たさでかじかみ、長靴を履いてない足の指先も痛くなった。
それは、間違いなく他の者も同じであった。誰の顔にも、”まだ終わらないのか?”という表情が見てとれたが、”せっかく皆が集まったのだから。”という思いが、大会を閉めることを躊躇させた。
しかし、そんな私の気持ちを動かしたのが、百万㌦の「何時までやるんですか?」という言葉であった。それを聞いて、名手の百万㌦でさえ終わることを望んでいることが分かり、ようやく大会を閉めることに踏ん切りがついたのである。
午後10時の大会終了。大会が始まってから3時間余り。これまでで最も短い開催時間となったが、この寒い時期では、これが限界であった。
大会を終えて
やはり今回も獲物が釣れた。しかも、それは”ますたぁ”が引っ掛けるまでは本命であったアオリタコと、それを引っ掛けたがために本命となったアジ子であった。
“漢塾”と冠した大会であるからか、必ず何かが釣れる。”神懸かっている”、”超自然的な力が働いている”、”気合で獲物を引き寄せた”など、何とでも言えるが、これまでに坊主が一度もなかったことから考えても、何か特別なものがあるとしか思えないのである。
ただ、獲物が釣れて大会が成立したことは嬉しいものの、漢塾アジ子釣り大会の真の目的は、それではない。獲物を釣るという目的は、表向きのもの。大会の真の目的は、志を同じくするものが集い、そして絆を深めることだ。集った私達は、同じものを”食い”、くだらないことを”語り合い”、”釣り”に興じる。これらのことをすることによって、私達は絆を深めていくのである。今回も私達は、このいつもの繰り返しが出来た。このことによって私達の絆が更に深まったことは間違いない。大会の目的は十分に達成されたといえる。
次回は、春。願わくば今度は、アジ子の釣れる最盛期にまた皆と再会したいものだ。
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